「どうして
ここがわかったの?」
ついて来たの?――
中へと進む
ジェジュンの背中に
問いかけた。
「俺も聞きたいよ――
ここが家なのか?」
「・・・だから”今は”・・・」
「いつから?
いつからここに?
まさかずっと・・・」
「違うよ、
昨日から・・・」
昨日と今日、
泊まっただけだよ――
「どうして?」
「・・・気分転換・・に・・・」
「こんなビジネスホテルで?」
「も!質問ばっかりっ
ジェジュンみたいに
お金持ちじゃないから、
こんなビジネスホテルでしか
気分転換出来ないのっっ
わかったら、帰ってよ!」
嘘に嘘を重ねていくのが
嫌になって
ジェジュンに
感情をぶつけた。
「何があったんだよ?」
今日の〇〇は
ずっと変だった――
気付いてたの?・・・
「何もないよ・・・
疲れただけ・・・」
「どうして
そうやって隠すんだよ?」
「隠してなんてっ・・・」
「隠してるだろ?」
隠してる―――
なぜ
そんなに
はっきり言い切れるの?
「私のことは
ぜんぶお見通しなの?」
厭味な言い方をした。
ジェジュンの哀しそうな目が
私の胸を締め付ける。
”ごめん”の一言も
言えなくなった。
「・・・来てたよ、店に――」
「・・・?・・」
誰?・・・
「今朝、〇〇の旦那さんが
店に来てた。」
「・・ノ・・が?・・」
ユノが店にどうして・・・
「何かあったんだろ?」
俺には隠さないで話して――
「・・・」
「話してくれるまで
帰らないからな――」
ジェジュン・・・
「夫婦の問題だから
ジェジュンには
関係ないことだよ。」
「あるよ――」
っ!!
冷たく言ったのに
どうして
わかってくれないの?
「〇〇のことだろ?
だったら
俺にも関係ある――」
言いたくないよ・・・
私には
プライドさえも残されないの?・・
「話してもいいよ・・・
でも、聞いたら
何も言わずに帰ってね。」
私たちはそれで・・・終わりだから―――
「・・・終わり?・・・」
「そう・・・」
「何を・・・」
ジェジュンの言葉を
遮るように話し始めた。
「離婚することにしたの。」
「っ!?・・」
「私のわがまま。
別れなきゃとは
ずっと思ってたけど
決心がつかなくて・・・
自分に好きな人が
現れるまで
引っ張っちゃった・・・」
最低だね、私―――
ジェジュンのせいじゃないからね――
「私は彼に
何も与えてあげられなかった・・・
彼が望む願いも
叶えられないの。」
だから
離婚したの――
「ジェジュンとの
未来のためじゃないから。
もう・・・いいでしょ?・・・」
話したから、帰って――
「・・・それで終わりに?」
「・・・」
「わからない。」
まだ何か隠してるだろ――
そんな目で見て
私を探ってる。
「彼には
子どもがいるの。
私との間じゃなくて・・・」
「っ!!?」
「私は彼に
与えてあげられなかったから・・・
一緒にいる間
酷いこともいったし、
彼を苦しめることしか
しなかったから・・・・」
自由にしてあげるの――
「一人で決めたのか?・・・
俺に話そうとは思わなかった?」
棘のある
言い方だった。
「・・・夫婦の問題なの。
私のことであっても、
ジェジュンには関係ない。」
「本当にそう思ってるのか?」
俺は関係ない?――
「ジェジュンのこと・・
これ以上巻き込みたくないの。」
わかってよ・・・お願い・・・――
「どうゆう意味だよ?
巻き込んだのは俺だろ?」
〇〇じゃない―――
「ぜんぶ違ったの。
私が
ジェジュンの監視をしてたんじゃない。
私が監視されてたの。」
「!?・・・」
「ジェジュンの従妹・・・
子どもいるでしょ?」
「?・・・あぁ・・・」
「結婚してないのに・・・」
――え・・・え?・・・」
わかった?・・・
「そう・・・
私もつい最近知ったの。
相手は知らなかったから・・・」
二人は親友なの――
「オーナーは
すべて知っていて
私を雇ったの。
ジェジュンは
口実にされただけ。」
私のせいで・・・――
理解できないって
頭を抱えてる。
そうだよ、ジェジュンは
巻き込まれただけなんだから・・・
「離婚したから、
お店は辞めた。
オーナーにとっても
もう必要ないでしょ。
だから
ジェジュンも・・・」
”私のことは忘れて”――
ジェジュンの声で
最後まで言えなかった。
「辞めた?
シフト変更したって
言わなかったか?」
「それは・・・」
「俺に黙って
居なくなるつもりだった?」
ジェジュンは
凄く怒っていて、
私を責めてる。
だけど、
責めてくれて
良かったと思ってる。
悪いのは私・・・
もっと怒って
嫌いになればいい・・・
「それが
俺のため?ハハ・・
そんなことぐらいで
終わりになるのか?」
”そんなこと”!?
私が悩んで
苦しんだことなのに・・・
”そんなこと”って簡単に言った。
「そんなこと?」
「”そんなこと”だろ?」
「わかってないっ!!
私がどれだけ
悩んで苦しんだか・・・
”そんなこと”で
私の人生変わったの?
”そんなこと”なの?」
簡単に言わないでよっ―――
「”そんなこと”だよ。
二人でいれば・・・
俺はずっとそばに居たのに・・・」
わかってないのは
〇〇の方だ―――
「・・・帰ろう?一緒に――」
ここに置いて帰れない。
ジェジュン・・・
どうして?・・・
「今の私に
帰る場所なんてないから。」
帰れない――
「それでいいのか?」
私は頷いた。
ジェジュンが来た時と同じ・・・
大きなため息が聞こえた。
私の性格は
良くわかってる。
だから――
「わかったよ・・・
好きにしろ―――」
ジェジュンは
部屋を出て行った。
バタンと閉まったドア――
”別れ”は
いつも思い描いたようには
行かないものだね・・・
こんな別れ方―――
ビジネスホテルの
床に座り込んで
声を上げて泣く惨めな姿が
備え付けの
小さなテレビの画面に映ってる。
世界一不幸になった気がしてた――
















