「チャンミンっ
待ってってば・・・」
どこ行くの?――
原簿を持ったまま、
ひたすら歩いて行く
チャンミンを追いかける。
でも、どこに
向かってる?・・・
チャンミンが
立ち止まったのは、
関係者以外
駐車禁止の
駐車場――
「どうぞ――」
え?
「乗ってください。」
「あ・・・え?・・」
この車って・・・
「僕の車です――」
運転席に座った
チャンミンが
中から
助手席のドアを開けた。
状況が理解できないまま
私は
そのシートに身を沈め、
待たれているから、
シートベルトを装着する。
それを
確認すると、
チャンミンは
車を動かした。
「・・どこ行くの?
教習?じゃないよね?」
「補講です。」
「補講?
そんなのあった?・・」
ないよね?
車だって、
チャンミンの車だし・・・
少し走った先の
ショッピングモールの
駐車場について、
チャンミンが車を降りた。
助手席に回ってきて、
席を替わるように
促される。
「何?・・」
何するの?――
「車庫入れ――
苦手ですよね?」
本当に、補講?
まだ状況が
のみこめない私は
運転席に移り
チャンミンを見る。
「どうして?」
どうして急に補講なの?
「・・ユノさんに
言われたから?」
「やらないんですか?」
え・・・
「やる・・・けど・・・」
教えてくれるなら・・・――
でも、急にこんなの・・・
「やるなら、
集中してやってください。
”僕の”車ですからね。」
「っ!!・・・はい・・・」
チャンミンが
本当の鬼教官に見えたから、
私は黙って
練習を始めた。
ショッピングモールに
直結する駐車場は
混んでいるけど、
離れた場所に位置する
駐車場は
休日でも空いていた。
だだっ広い
敷地に
白線だけが引いてある場所に
車を停める。
線を跨いだり、
寄り過ぎたり・・・
全然上手くいかない。
「緊張感が
足りないんですよ。」
進歩が見えない
私に
呆れて言った。
そして――
”はぁ~”って
深いため息をつくと、
他の車が停まっているところへと
移動させた。
まさか・・・ね?
嫌な予感がしたら、
そのまさかで――
「ここに入れてください。」
車と車の間の
一台分のスペース・・・
「無理だよ!
見てたでしょ?」
ぶつかったら
どうするの!?
車校の車じゃないんだよ?
「そんなことだから、
いつまでたっても
出来ないんですよ。
入れる気、ないんですか?」
「あるよ、あるけど・・・」
「では、どうぞ――」
不安しかないのに、
チャンミンに強く言われて、
ソロ、ソロと車を
ゆっくり動かす。
でも、
広いスペースでも
成功したことがないのに、
無理でしょ!!!
ちょっと
思わぬ方向へ
車のお尻が振れただけで
パニック状態になった。
「無理だよっ
ぶつかっちゃう!!」
「大丈夫――
僕も見てますから。」
え・・・
パニックの私とは違って、
落ち着いたトーンで言う。
「うん・・・」
その言葉に
また車を動かし始めて
ヒヤヒヤすると
「そうです・・
行きたい方向に切って――」
あってます。大丈夫です――
ゆっくりだけど、
ふたつの車の間に、
綺麗に納まって行く・・・
最後は
車体をまっすぐにして
後ろに下がって・・・
で・・・きた・・・
「まぁまぁの出来です。」
達成感のせいで、
割増しに見えてるわけじゃないと思う。
その眩しすぎる
チャンミンの笑顔――
嬉しくなって
私も笑った。
「他の褒め言葉ない?
でも・・
ありがと、補講・・・」
「・・いえ。」
チャンミンが
隣に居たから
出来たんだよね。
チャンミンじゃなかったら・・・
また
沈んでいく。
だってこの人も・・・――
「チャンミン、ありがと。」
「さっきも聞きました。」
「うん。
今だけじゃなくて・・・
ありがとって意味。」
「?・・・」
「今度から
別の教官にするね。」
チャンミンには、迷惑だもんね――
「何かあったんですか?
ジェジュンさんと――」
「え?」
わかってて
”補講”って連れ出したの?
どうしてそんなこと?
「ジェジュンさんが、何か?」
思いたくないのに、
思考回路が
歪んだ方向へと行ってしまう。
チャンミンは、
彼女の心配をしてるんだって
思うことしか
出来ない。
ジェジュンと私の関係を
聞いたのも、
彼女に近づく
”ジェジュン”のことを
気にしたから・・でしょ?
チャンミンは
彼女のことを想ってる――
それが頭から離れないから・・・










