ジュンス・・・


何と言えば

良かったの?




「・・今日は

・・帰るね・・・」



東方神起~妄想ラブストーリー~


ジュンスの

問いには

答えられなかった。


”ユチョンが好き”――


でも”ジュンスのことも”――


そんなの

通用しないことくらい

わかっているから

何も言えなかった。


その場を

立ち去ることすら

躊躇して・・・


やっと

言い出した

”帰るね・・・”


なのに

足は動かない。


本当に

どうしたらいいのかが

わからなくて

ジュンスに

何か言ってもらいたかった。




ズルいね、私――


ジュンスの出方を

待つなんて・・・



東方神起~妄想ラブストーリー~

ジュンスが

何かを言ってくれる

ことはなく

そのまま

ジュンスの

部屋を後にした。



二人への

気持ちを天秤に

かけて

傾いた方を取る――


そんな簡単な

ことじゃない。


苦しくて

眠ることすら

出来ない夜を

過ごした。


ジュンスとは

このまま

終わりなの?


どうなるんだろう・・・

私たち。


どうしたいんだろう・・・

私は―――


ジュンスと

こんな時でも

ふと頭に過る

ユチョンのこと・・・


ユノさんが

昨日言っていたことを

思い出した。


ユチョンとは

仕事でもう少し

繫がっていられそう―――


ユチョンと

話したくなった。


そうしたら

何かが変わるかも

しれない。


自分の

気持ちを

確かめるためにも・・・


仕事の用を

わざと作って

連絡した。



だけど―――



東方神起~妄想ラブストーリー~

朝から

何度掛けても

ユチョンは

出なかった。


初めは

手が離せないからだと

思ったけど

折り返しも来ない。


ユチョン?・・・


ユチョンが

離れて行く

不安に駆られた。


終業時間が

近づく頃

嫌な予感を

払拭したくて

またコールしてみた。


でも

ダメだった。


「ハァ~・・・」


知らないうちに

漏らしていた

大きなため息は

隣の席まで

聞こえて――



東方神起~妄想ラブストーリー~

「どうかした?――」


気を遣わせて

しまった。


「いえ・・・何も・・・」


私の疲れた

笑いのせいで

もっと気を遣わせて――


「ん?営業?

電話出ないの?」


携帯忘れて

外出したんじゃない?――


って、優しく微笑んでくれる。


「そうですかね。」


「携帯忘れると

こうやって迷惑かけるだな。」


これから気をつけるよ――



冗談めかして

笑い・・・


「で、誰に掛けてるの?

急ぎ?」


助けてくれようと

私に聞く。


「あ・・・ユチョンさんです。」



東方神起~妄想ラブストーリー~

「ひょっとして

統合の件?

だったら俺でいいかも――

確認事項は?」


ドキッとした。


「え?・・はい

その件ですけど・・・」


もう少し

ユチョンが担当――

なのでは?・・・



ユチョンと

話すために

わざと作ったのだから

”確認事項”を

言うのを

渋っている私に

ユノさんは言った。


「昨日の話しだけど

どうも

俺でいけそうなんだ。

ユチョンさんが

掛け合ったみたい。

向こうの支社の

仕事で

手も回らないってことで

予定通り俺が・・・」


ウソ・・・


ユチョンが

断わったの?


他の仕事で

手が回らない?


ユチョン・・・


ユチョンが

居なくなる・・・



「ごめんなさい!」


話しの途中で

私は席を立った。


居てもたっても

いられなくなって

ユチョンの

プライベート携帯に

電話をしようと思った。


自分の携帯を

握りしめて

人のいない場所へ

急いだ。



「〇〇・・・・」


小走りに

駆けていく

私の背中で

聞こえた声――


東方神起~妄想ラブストーリー~

振りかえると

ジュンスが居た。


「!!・・」


ジュンスっ・・・


何のために

急いでいたのか

ジュンスに

知られてはいけない。


仕事中に

プライベート携帯を

握りしめ

不自然な姿、行動の

私を見つめる

ジュンスから

私も目を逸らさない。



「・・・話せないか?」



哀しげに

見える

その表情で誘って

何を話すの?



「・・・今から?・・・」


怖いよ・・・



「終わってからでいいよ。

まだかかりそう?」


「もう少しかな・・・」



東方神起~妄想ラブストーリー~

「じゃあ外で待ってるよ。」


車だから――



私の心はまだ

ふらふらと

二人の間を

彷徨ったまま。


昨日と同じ・・・


同じ質問を

されても

また答えは出せないだろう。


ジュンスは

答えが出ているの?


”わかった”と

頷く前に

今度は課から

私を呼ぶ声が

聞こえる。


「〇〇さーん

XX支社、

ユチョンさんから

お電話入ってますよ。」


!!・・・



声の主に

返事をするため

振り向く私の横顔に

刺さる視線――


東方神起~妄想ラブストーリー~



ジュンス・・・


「?・・折り返しますか?」



取り込み中ならと

言われて

私はやっと返答する。



「あ・・はい、出ます――」



まだ

ジュンスの視線を

横顔に感じていた。




ゆっくり

ジュンスの方に

視線を戻すと――



東方神起~妄想ラブストーリー~

「じゃあ、車で待ってるよ――」


気にしてない風に

ジュンスは

私の課を後にした。



どうして

このタイミングで

ユチョンから

電話がかかって

来てしまったんだろう。


タイミングの

悪さが

私たち3人を

もっと拗れさせる――