僕が宿舎に
戻ってから
時計の針は
何周かしてる。
まだ帰らないのか?・・・
帰るなり
部屋に籠って
気にしないように
していたけど
シャワーを
浴びてリビングを
通る時
まだ彼女の姿が
そこにないことに
少し心配になった。
仕事は終わったはず・・・
じゃあ
彼女はどこに?
・・出て行ったのか?・・
出て行ってくれたことは
良いけど
何か
後味が悪い―――
あんな風に
冷たくした直後だし
何も言わずに
出て行くなんて・・・・
一人
もやもやした
気持ちを
抱えていた。
ヒョンたちも
次々帰宅して
みんな揃った。
そんな中
また出かけて
行こうとする
マネージャー―――
「どこ行くの?」
「迎えだけど?」
「誰の?」
「・・ジェジュン・・」
「見つかったの!?」
「いや・・そっちの
ジェジュンはまだ・・」
「じゃあ・・・?」
出て行ったんじゃ
ないのか?
「あいつを
迎えに行くんだよ。
何で?何か用か?」
どこへ行くかなんて
聞いてしまったから・・・
「あー・・忘れ物したから
出掛けるなら
ついでに
探してきて
くれないかなと思って・・
でもいいや、今度で――」
「忘れ物?どこに?」
「・・練習室・・かな?」
「練習室なら
ちょうど今から
行くから良かった。
忘れ物って?」
「え?・・
練習室に行くの?」
「あぁ。
もっと練習したいから
後から
迎えに来てくれって
言われてさ・・」
あれから
ずっとダンスレッスンを?
・・・何時間経った?・・
「で・・忘れ物は何だ?
探して来るよ。」
「ん?・・あぁ・・
いいよ・・気のせいかも・・
練習室じゃない
気もするし・・」
「いいよ。
せっかく
行くんだし
探して来るよ。
何?」
引けなくなって
しまった僕は―――
「説明しづらいから
自分で探すよ。」
僕も行く――
車に乗って
再び練習室へ・・・・
近くまで来て
車が進まなくなった。
「・・どうしたの?」
事故か故障か
道が塞がって
立ち往生しているみたいだ。
事務所まで
そう遠くない。
夜も遅いし
人通りもない。
「・・忘れ物探して
ついでに
呼んで来るよ。
裏に廻しといて――」
僕はそこで
車を降りた。
練習室に
本当に
彼女は居た。
すぐに中には
入らず
外から
彼女の様子を見てた。
もう何時間
練習しているんだろう・・・
ヘトヘトで
倒れそうになっているのに
まだ
鏡に向かって
練習している。
少しは
マシになったみたい
だけど
これ以上やっても
無駄だろう・・・
「時間だ。
裏に車来てるから――」
急に
練習室の
ドアが開いて
驚いている
彼女に僕は
伝えた。
「あ・・
でもまだ・・」
「頑張っても
ジェジュヒョンには
なれないよ。」
なる必要もない――
「どうして
そんなにキミが
頑張るんだよ。」
疲れた顔に
つたう汗を
タオルで拭きながら
答える。
「私だって
守りたいから。」
「?・・・」
「ファンだもん。
出来ることが
あるなら
力になりたい。
守りたい。」
ファン?・・
守りたいって
キミに何が出来る?
今だって
女の顔してる・・・
「ジェジュヒョンが
帰って来るまで
やるつもり?
もし帰って来なかったら
どうするんだよ?
ずっとジェジュヒョンの
代わりを続ける?
男として生きるのか?」
「・・・・」
責め立てた僕に
彼女が
言い返すことは
なかった。
責めたてたのは
僕の方だけど・・
彼女は何も
言わなかったけど・・・
僕の心に
残ってる――
”守りたい”と
言った彼女の言葉が
胸を刺すんだ。
僕だって
大切なメンバーを
居場所を・・
守りたい――――
でも
どうすればいいか
わからないんだ・・・・








