待ってて欲しいと
言われた。
ジュンスから
深夜の連絡や
突然の呼び出しは
なくなった。
私が
起きているであろう
時間に合わせて
たまに来るメール・・・
きっと
ジュンスは無理してる。
”待て”と
言われたけど
本当に
待っていて
いいのだろうかなんて
思ってる。
ジュンスの
忙しい姿は
テレビで
毎日のように
確認出来るのに
それを
確かめることはできない。
本当に
待っていていいの?
こんなに
住む世界が違うよ?
一体どれくらいの
人がテレビに映る
ジュンスに
心馳せているんだろう・・
私だけのジュンス・・ではない・・
気持ちの整理も
つかないまま
彼に会った。
あの日
彼を置き去りにして以来
ちゃんと
謝罪しなきゃと思ってた時の
彼からの
誘いだった。
「この前は
ごめんなさい・・・」
「いや・・
彼氏・・
本物・・だったんだ。」
「・・・」
「ちょっと
びっくりした。
もう長いの?」
「・・・」
彼の質問には
不用意に
答えたくなかった。
彼は良い人かも
しれないけど
もしジュンスに
迷惑が掛かるようなことに
なったらと思うと
何も言わないのが
いいと思ったから。
それから
彼と少し話しをした。
彼が言う
一度のチャンスは
これで
果たせたと思ったのに・・・
「帰るね。」
そう言ったら――
「また誘ってもいい?」
彼が聞く。
どうして
そうなるのかな・・
私には恋人がいるって
わかったはずなのに・・・
「・・ごめんなさい・・」
「どうして?」
「デートは一度の
約束でしょ?
付き合えないから・・」
「ジュンスと
付き合ってるから?
それってこれからも
そうなの?」
え?・・・
彼は冷静に問う。
”ジュンスとの関係は
これからも
変わらず続くのかな?”って・・
「芸能人と
付き合うのは
大変じゃない?」
そう言われて
気が付いた。
大変だよ・・・
つらいよ・・・・
自分が
すごく
小さな人間に
思えるよ・・・
だけど・・だけど・・・
ジュンスは
私のこと
そんな風に見ていない。
対等な立場で
昔と変わらない
態度で
接してくれている。
一歩外に出れば
周りを囲まれる
有名人なのに
変わらず
私を想ってくれている・・・
私って
バカかも・・
被害妄想して
悲劇のヒロイン
気取ってたのかな・・
「大変かもね・・
でも芸能人である前に
一人の人として
彼が好きなの。
彼も同じだと思ってる。
だから
そんなこと関係ない。
これからも
変わらないよ。
彼にフラれるまで・・ね。」
言い終わったとき
気分が
すっきりしていた。
大変なのは
私じゃない。
ジュンスの方―――
そのジュンスが
待っていて欲しいと
言うのだから
私は待てばいい。
だって
ジュンスが
好きだから・・・
そうだよね?
それで
いいんだよね?――



