加速する想いを
止めなきゃいけないと
わかっているのに
止められない。
好きなものは好き―――
どうしたら
そうじゃなくなるの?
ジェジュンに
恋人でも出来れば
身を引ける?
そんなわけない・・・
「居たっ!!
あの人!!」
夕方
学校帰りの
女子高生が
お店に駆け込んできて
離れたところにいる
ジェジュンを指差す。
”すごいでしょ”
”かっこいいでしょ”
ってはしゃいでる。
私も一緒になって
やりたいくらいだった。
何も知らない
ジェジュンが
私のところに
やって来て――
「なぁ〇〇。
補充手伝ってくれる?」
そう言って
私を連れて行くから
女子高生たちから
羨望の眼差しを
送られた。
「ん?・・なに?」
騒ぐ声に
気付いたのか
ジェジュンが
私に聞いた。
「ジェジュンが
かっこいいって・・・」
「え?」
「”あの店員さん
かっこいいでしょ!?”って
盛り上がってたよ。」
「アッハッハ
うそ~?」
「ほんと。
ジェジュンに会いに
通ってるみたいだったよ。」
「アッハ~
そうなの?」
好きと憧れは
違うから
憧れは要らない
みたいなこと
言ってたくせに
嬉しそう・・・・
補充品を
取りに来た
倉庫に着いても
まだその話が
続いてた。
「アッハ~
俺ってモテるなぁ・・」
「そうだよ。
だからその気に
なれば恋人くらい
すぐに
見つかるんじゃない?」
ちょっと
この会話が
嫌になっていた。
「女子高生だろ?」
「女子高生じゃなくても
ジェジュン目当ての
お客さん
他にも
たくさんいるでしょ。
探してみたら?
補充リスト
貸して?」
イライラしてた・・・
「?・・〇〇?」
「貸して――」
悟られたくなくて
ジェジュンの
手から
リストを取った。
「これくらいなら
一人で出来るよ。
私やっておくから・・」
ピックアップ作業に
取りかかろうとした
私を止めたジェジュン――
「何で
怒ってるの?」
「へ?・・
怒ってないよ。」
「それで
怒ってないって言う?」
怒ってるだろ?って
私のことなら
わかるみたいな
言い方。
「ハハ。
どうして怒るの?
怒ってないよ。」
私は早く
仕事に戻りたかった。
深く追求なんて
して欲しくなかった。
なのに・・・
「俺に
恋人が出来るの
嫌?」
「!?・・
何それ・・・」
「だから
怒ってる・・・?」
「違うよ。
怒ってないもん・・
私たち
友達だし
そんなこと
気にするわけ
ないでしょ?」
うそだ・・・
”友達”なんて
言いたくないのに・・
「・・・」
私を見つめる
ジェジュン・・・・
目が
本心を
伝えてしまうのが
怖くて
手に持っていた
リストに
目を伏せた。
そのうちに
ジェジュンの
携帯が鳴り始めた。
「携帯・・
鳴ってるよ?
私、補充しておくから
行っていいよ・・」
「あぁ・・わかった。
今倉庫だから
すぐ戻るよ。
で、お客さんは何て?・・・」
電話に出た
ジェジュンは
話しながら
倉庫を出て行った。
それを
見届けて
ほっとする。
危なかった・・・
図星だった。
ジェジュンが言ったこと・・
ジェジュンに
恋人が出来るのが
嫌。
私、
そんなこと
思ってた。
全然だめだ・・
何考えてるんだろう・・・
なんか
頭まで痛くなって来たから
何も考えないようにして
仕事に戻った。









