あの日現場で
キスを目撃した
社員のおかげで
私たちの関係は
一気に広まった。
良いことも
悪いこともあるけど
私たちの関係は
変わらないから
気にしないで
仕事している。
「ユノさん・・
そろそろ時間です。」
そう声を掛けたのは
これで3回目―――
返ってくる返事は
決まって
「おぅわかってる。
すぐ行く。」
なのに
ちっとも来ない・・・
仕事に熱中していると
いつもそうだから
多少の余裕は見て
声を掛けている。
でもそろそろ
本当に遅刻しちゃう――
「ユノさんっ!!!」
強めに呼んだら
やっと来た。
「ごめんごめん。
間に合うよね?」
申し訳なさそうな
笑顔をされると
怒れなくなる。
ずるい・・・
「急げば・・・」
車に乗って
目的地へ――
「チャンミン・・
ごめんね。待った?」
「いえ・・
珍しく時間通りですね。」
「ハハ・・〇〇が
遅刻するとチャンミンが
怒るからって・・・」
ユノ!!どうして
それ言うの!?
「ハハ・・」
笑って誤魔化した。
今日はチャンミンが
社長に就任したお祝い――
もっと時間をかけて
就任のはずだったけど
彼は自ら志願した。
いずれ継ぐなら
早いも遅いもないって・・・
チャンミンの
並々ならぬ
決意を感じる。
弟の
社長就任に
終始ご機嫌なユノ――
3人でお祝いした。
ユノがトイレに立って
二人になったとき
チャンミンが言った。
「幸せそうですね。」
「え?・・あぁ・・うん。
チャンミンも・・でしょ?」
「えぇ・・」
「早いなぁ・・
後輩だと思ってたのに
あっという間に
抜かされて・・
もう社長なんだもんね。」
「まだ名前だけです。」
「ん?」
実績を出さなきゃって・・
ストイックな
チャンミンらしい・・
「大丈夫だよ
チャンミンなら――」
「そうですね。
僕もそう思います。」
それもチャンミンらしい・・
穏やかな時が流れた。
言ってなかったことがある・・
「チャンミン・・」
「はい?」
リラックスした様子で
グラスのお酒を
飲み干す彼に言う――
「ありがとうね・・」
「なんですか
急に改まって・・
今日は兄さんの
奢りですよ。」
わかってるくせに・・・
「うん・・
でも・・ありがと。」
私がユノと
こうしていられるのは
チャンミンのおかげだから・・
「・・兄さんなら
幸せになれますよ・・
これからもずっと・・」
チャンミン・・・
「うん・・・」
「はぁ~・・
そろそろ帰るか?」
ほんのり
お酒に酔った
陽気なユノが
戻って来た。
「そうだね・・」
「頑張れよ――」
酔っていても
最後は
チャンミンの
肩をポンポンと
軽く叩いて
お兄さんの顔――
嫌いだった
この兄弟が
今は大好き・・・
お互いを尊重し合って
陰で支え合ってる。
素敵な二人――
二人と出逢えて
良かったと
心から思う。
「〇〇・・
どうしたの?
ニヤニヤして。」
「え?ニヤニヤしてる?
嘘!?してないよ・・」
「ハハ・・
これからどうする?」
「ん~・・」
時計を見ようとしたら
隠された。
「ウチ・・来るよね?」
返事も聞かずに
タクシーに乗って
ユノの部屋へ―――
「チャンミン
これから
忙しくなるね。」
「うん・・そうだな。
でもあいつなら
大丈夫だろ。」
「そうだよね・・
チャンミンだもんね。」
「・・・」
「ユノ?・・」
急に抱き寄せられて
ユノの顔が
肩に乗っている・・・
「チャンミンは
大丈夫だよ・・・」
小さな声で
囁いて
回した腕を強くした。
「ユノ・・?・・」
もしかして
嫉妬してるの?
「ユノ・・
ユノが好き――」
そう言ったら
フッて笑って
笑顔になった。
やっぱり
嫉妬してた?
私はユノを
選んだ・・・
ユノが好きなんだよ?
「俺も〇〇が好き――」
その言葉に
今もまだ
キュンとする。
大切な人からの
愛おしい言葉・・・
「〇〇・・
ずっとそばに居て・・・」
ユノ・・・
「うん・・」
私が掴んだのは
ユノの手―――
2度と放さない・・・
誰からも
頼りにされるユノ・・
だけど
どこか心配させる
ところがある。
そんなユノのそばから
私は離れない。
ずっと
一緒に居ようね―――
―――――――――――THE END――――――――――――――















