■書名:組織変革のビジョン
■出版社:光文社
■著者:金井壽宏
■オススメ度:★★★★☆
組織論やリーダー論について書かれた良書です。
組織変革について書かれていることはもちろんですが、
それよりも組織の中での個人のあり方や存在、
ビジネスをやっていく上で必要な意識といったことも書かれており、
最後まで非常に興味深く読むことができました。
本書を読んで印象に残ったことは3つ。
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・無能レベルが成長を生み出す
・良いパスとは長く正確なパスではない
・ビジョン、ミッション、パッション
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それについて少し(?)書き留めておこうと思います。
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ヒトは無能レベルまで昇進する
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この言葉は自己の成長や組織の成長について書かれていたことで、
ひとつのことを極めた(できるようになった)人でも場所が変われば、
無能の人間になり、その無能レベルが人を成長させる。
そのために、新しい場所やことに積極的に取り組むべきである。
と解釈しました。
まさしく、チャレンジングな経験は常に新しい試みの中にあると思いますし、
そこでの経験がさらに大きなチャレンジにつながると思います。
いきなり大きなチャレンジの機会はなかなかありませんし、
あったとしても経験がなければ難しいのかもしれません。
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長く正確なパスが良いパスだとは限らない
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これはリーダーシップ論について書かれていた言葉ですが、
目的(トライ)に近づくパスこそ「良いパス」であるという条件を
ラグビーの平尾氏の言葉を引用して、わかりやすく説明していました。
強いチーム、勝てるチームは、「良いパス」が生み出されるチームであり
その「良いパス」の条件がチームのメンバーに共通認識として共有され、
そして、その「良いパス」を生み出すためのチャレンジを行えるチームである。
リーダーとして、まず「良いパス」の認識を持つこと。
そして、その「良いパス」の認識をメンバーに共有し
実行できるチームにすることが大切です。
ちなみに、その平尾氏の言葉は、
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>良いパスの条件とは相手に正確に渡すだけではない。
>オレが持っているよりも、あいつが持っているほうが
>チームとしていい人間の手にパスが渡ることがいいパスの定義だ
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という非常に印象的な言葉です。
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ビジョン・ミッション・パッション
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これについては日常よく耳にすることであり、
私のブログでもしばしば書いていると思いますので、
(しかもこれについて書くと長くなりますし・・ 苦笑)
本書の言葉の引用にとどめようと思います。
>「そこに行きたい」という熱い気持や情熱(パッション)、
>「なぜそこに行きたいか」を語る使命(ミッション)、
>「そこはたどり着けばどのようなところなのか」を
>目に見えるように(ビジュアルに)描かれたビジョン、
>「そこに行ける」という自信と勇気、
>「どうしたらそこに行けるか」を示すシナリオやステップ
>(足取りの展望)を持って進んでいきたいものだ。
>変革はくぐっているときはたいへんであっても、
>変革がかなったときに、それは、それを推進した個人にとっても、
>組織にとっても、かけがえのない経験となる。(前書きより)
その変革に必要な要素が「ビジョン・ミッション・パッション」であるということですね。