映画「1984」についての探偵の言い訳そのX
もういい加減終わらないか,という声なき声が聞こえたので,ここで探偵から少し言い訳を。美しい場面はもう殆ど終わりで,これから急転直下,暗澹たる展開となります。先行画像の中に,全体の流れの重要なヒントとなる2コマを入れて置きました。
1つ目は彼女と知り合った後でつけている日記の日付(画像をクリックして拡大し,確認してみてください)と,2つ目は逢引きでの中で彼女が壁の絵について言った言葉,「何故だか記憶にあるのよ。」です。では引き続きご鑑賞ください。
映画「1984」:(7) 君を愛せなくなるかも知れない...
二人で借りた秘密の部屋での逢瀬は続いていた...
しかし,その中には『真実』もあれば『不真実』(untruth:探偵注)もあった。」
1984年5月12日
「自由とは,2足す2が4であると言える自由だ。それさえ認められれば,あとはその真理に従って決定される。」
ある日,1981年にあのサイムが天才ぶりを発揮してチェスの王者になったという記事を訂正するように,という指令書が来た。それはサイムがアンパーソンされることを意味した。

すると,今あそこにいるサイムは何者ということになるのだろう?テレスクリーンでは戦場での功労者としてあの「オグリビー」が登場していた。
これでサイムはティロットソンという男になり,1981年のチェスで優勝したことになった。しかし,なぜサイムが?
「大きな栗の木の下で,私は貴女を売り,貴女は私を売った。あのビッグ・ブラザーのため」
「君がザ・タイムズに書いたニュースピークの記事を読んだよ。なかなかエレガントに書かれていたね。いや,これは私だけの意見じゃない。 」
「そうですか,どうも。」
「時にあれは,ニュースピーク辞書の新版,第10版を参考にしたのかね?幾つか「非在用語」(unword:探偵注)が混じっていたようだが。」
「いえ,私はまだ第9版を使っています。」
「そうか,私の手元に第10版があるから,それを見に来給え。夜はずっと自宅にいるからね。」
来るべき時が来た...
新たな英雄はオグリビーになっていた。あそこであの男がしているのは,一体何の仕事だろうか。
戦争はこれまでもイーストエイジアとの間で行われていたのであり,ユーレイシアは常に味方の同盟軍だった,ことになった。
ザ・タイムズの記事は書き換えられた。こうして事実とされていたことが書き換えられ,いつしか書き換えられたことも忘れられて行く...
「終に事は起こった。召喚状が来たのだ。私の人生のすべてがそれを待ち望んでいた時が。」
「お湯が半分も吹きこぼれてしまったわ。今何時?」 「11時30分だ。」
「あら,これは何かしら?」 「消し忘れていた歴史のかけらだ。100年前の昔からのメッセージだよ。」
「オレンジとレモン,つまりセントクレメンツの鐘だ」「あら違うわ、罰金3ペンス。セント・マーチンの鐘といわれているものよ。」

「誰に教わった?」
「いいかい,よく聞くんだ。今すぐ君がすべきことは,ここを出ていくことだ。手遅れにならないうちに。そして二人がもう二度と会わないことだ。」

「分かったわ。」
「僕らの運もこれ以上長く続かない。君は正常に見える。僕みたいな穢れた人間を寄せ付けなければ,生き続けられる。」
「私は貴方と同じことをするわ。もうちゃんと考えてあるの。私は生き延びるのが上手いのよ。」
「次に会うのはいつにする?」
「1,2週間は会わないほうがいいわ。安全を考えて。愛してるわ。」
「ジュリア,レジスタンスは実在すると思うかい?」 「思わないわ。実在するものなんて何もないのよ。」(続く)












































