答えを出したくない映画
優れた映画や文学では決して100%の真実を描かない。答えは出さない。真実や答えは必ず読者(観客)の側にあるはずだから。多くの戦争映画があり,「フル・メタルジャケット」や「地獄の黙示録」のようにそれぞれ意義深いものも多いが,私にとって上記の理由から最も恐ろしい映画はドキュメンタリである。フィクションと限定すれば,最も恐ろしい のは「西部戦線異状なし」の爆弾がこちらに向かって飛んでくる場面であった。映画中でもそうだが殆どの新兵はシェル・ショック(一時的な神経症,ヒステリー状態)になったという。後日ひょんなことから同様のことがわが身に起こった。あの音と息づまる瞬間は今でも悪夢に見る。そしてその後でもっと怖いことを言われたのだ。「近づいてくる音が聞こえた,ということはお前が今生きているということと同じだ」。ダルトン・トランボの「ジョニーは戦場に行った」には最初の数分間この恐ろしい第一次世界大戦のドキュメンタリが挿入されている。