それは2週間前のことだった。
目が覚めたら、イヌになっていた
はじめは何が起きたのかわからず驚いたが、落ち着いて考えた。こうなってしまったら仕方ない家族を驚かすとよくないから、私はそっとお家を出ることにした。
今まで毎日変わらず見る風景なのに、全く違う風景に見える。
それは当たり前のこと。
物は大きく見え、いつも優しい人たちが、めっちゃ怖いひとりぼっちのイヌだからって………確かに、どこのイヌなのかわからない……やっぱりイヌは怖いから、こんな悲しい扱いされてしまうよね悲しくて、行く場所もない私。しょんぼりして……公園にたどり着いた。
とりあえずはここでゆっくりしよう。
数時間後…
突然の雨。
私は濡れて、震えていたところへ誰かがやって来た。私は恐る恐る顔を上げた。目の前には優しそうなお兄さんが傘をさしかけてくれていた。
その日がお兄さんとの出会いだった。
あれから2週間。
お兄さんとの暮らしはとても居心地が良かった
お兄さんは私を『キラリ』と名付け、楽しい毎日を過ごした。
このままイヌでもいいかもなんて思い始めてしまうほど、ホント毎日楽しい日々だった。
お兄さんは私を連れていろんなところへ連れて行き、たくさんいろんなお話をしてくれた。
その中でも、おしゃれなパン屋さんへ連れて行ってくれたこと。あれは今でも一番の思い出お兄さんと私は同じパンを分けあって食べて、お話をしたことが忘れられない。
お兄さんはそのときはなぜか悲しい目をしていた。誰かにいじめられていることを打ち明けた。私はこんな優しいお兄さんをいじめるなんて『許せない』と思った。これからは私がお兄さんを守ってあげたいそう思うと同時に、優しいお兄さんに恋していたことに気付いたのでした。でも………このままイヌでは彼女にもなれない。守ってあげることもできない。早く人間に戻りたい。お兄さん大好きなのに…………。何もしてあげられずごめんねでも、ずっと傍にいてるよ。お兄さん大好き
ある日、大好きなお兄さんとのお散歩中。
お兄さんをいじめている人たちとばったり会ったお兄さんを守らなきゃ
そのとき、そのいじめっ子たちはお兄さんと私を引き離し…お兄さんをまたいじめている。私は頑張っていじめっ子から抜け出し、お兄さんを助けに行った。いじめっ子たちもやはりイヌは怖いらしい。逃げて行く姿を見ていると、お兄さんは私を抱き抱え泣いた。『ごめん。こんな弱い僕でごめんね。怖かったよね。守ってくれてありがとう。』と言ったお兄さん。私は心の中で『そんなことないよ。お兄さんは、誰にでも優しく、強いところを私は知ってるよ。』と言った。
そして、また月日が経ち……
今日もお兄さんと一緒に寝ていたある日。突然夜中に目が覚めた。体に異変が起きていたことに気付いた
人間に戻ってることに気付いたのでした。
人間に戻れたことは嬉しいけれど、こんな姿を見たらお兄さんは驚くだろうな……。お兄さんはいなくなった私をどう思うだろう………。と思いながら、お兄さんの寝顔を見ていると。お兄さんが目を覚めし、一瞬驚いたが『キラリなの』と言った。私はうなづくとお兄さんは、嬉しそうに私を抱き締めてくれた。お兄さんは夢だと思っているけど、『私はキラリだよ』と答えると嬉しそうにお兄さんは私にこう言った。『ずっとキラリが人間だったら良いのにって思ってた。』と。私はその言葉が嬉しくて、泣き出してしまった。
私は、あの日突然イヌになった日からのことを朝になるまで話した。
お兄さんは驚くところもあったけれど、お兄さんは『私と出会うのは神様が決めた運命だった』と言ってくれた。
私はそのあと実家に人間として帰る事ができた。家族は私の帰りを泣いて喜んだ。
その後、優しい大好きなお兄さんと付き合うことになりました。
あのとき行った思い出のおしゃれなパン屋さんへデートで行き、あのときと全く変わらずの美味しいパンを一緒に食べながらあのときのことをたくさん話した。
彼に聞いてみた。どうしてあのとき公園で私を助けてくれたのかと……。お兄さんはこう答えた。『不思議な感覚だったよ。キラリを助けないと、一生後悔すると思った。』と。
私たちは見えない赤い糸で結ばれていたのだと思ったけど……彼には恥ずかしくて言えなかった。だけど、彼にハグをして『いつまでも。ずっと大好きだよ』と言った。
あれから数年後の今、彼と私は今日結婚します。