文書名 相続で取得した土地建物を譲渡した場合
文書番号 0094
作成日 2013/10/05
ジャンル 所得税法
Ⅰ 事例
甲氏は資産家である父親の死去により、首都圏にある複数の土地建物を相続により取得した。この相続に伴い、適正に相続税の申告を行い、相続税を支払っている。
相続により申告した土地と建物の価格の明細は次の通りである。それぞれの建物はその土地の上に建築されている。
土地 A 1億円 土地B 2億円 土地C 8千万
建物 A 5千万 建物B 9千万 建物C 3千万
相続税の申告をしてから3年以内に、相続により取得した土地建物Cを譲渡した。建物Cの所在場所は、再開発が予定されており、高額で売却することになった。
この譲渡による収入金額と父親の取得費の差額は、土地Cについては1億円、建物Cについては5千万と計算された。
長期譲渡所得として計算すれば2千万以上の所得税を納付することになる。
この場合の救済措置はあるか。
Ⅱ 取扱い
① 相続税の取得費加算が適用できる。つまり、納付した相続税を譲渡した土地建物の取得費に含めることができる。
② 土地に関しては、土地A、B、Cの全ての土地に対応する部分の相続税を、土地Cの取得費に加算することができる。
③ 建物に関しては、土地と違い、建物Cに対応する部分の相続税のみが取得費に加算される。
土地の場合は、土地全部に対応する部分が土地Cの譲渡益から控除できるので有利。土地以外の資産では、その資産限定。
なお、相続税の申告期限から3年を過ぎてしまうと、この規定は適用できない。
金銭で未分割遺産の解決をするために、相続財産を譲渡するときは3年以内にすると節税になる。
Ⅲ 根拠
[1] 相続税額の取得費加算
相続又は遺贈による財産の取得をした個人で、その相続又は遺贈につき相続税額があるものが、その相続開始があった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日の間にその相続税額に係る課税価格の計算の基礎となった課税価格の計算の基礎に算入された資産を譲渡した場合には、その資産の取得費は、その取得費にその相続税額のうち一定の方法で計算した金額を加算した金額とする。
[2] 取得費加算額 租税特別措置法 25の16②
① 譲渡した資産が土地等である場合
相続等により取得した全ての土地等の相続税評価額を基礎として、加算する相続税額を計算する。
② 譲渡した資産が土地等以外の場合
譲渡したその資産に係る相続税評価額を基礎として、加算する相続税額を計算する。
ポイントは、土地については 土地A、土地Bの相続税評価額に対応する部分も土地Cの譲渡益から控除できることです。
この規定を知らなくて、多めの譲渡所得を払っている人も結構いると思いますよ。税務署は、こうしたら節税できますよなんて教えてくれませんから。
Copyright ( C ) 2013 経営デザイン
Mail address : kd.takagi@gmail.com