文書名 会社分割を悪用して借金を踏み倒す?
文書番号 0062
作成日 2013/09/05
ジャンル 経営法務
Ⅰ 事例
① 会社を分割して、資産を新しい会社に残し借金だけを元の会社に残して、実質的に債務を免れることはできるか。
② 会社法では元の会社が借金の全部を引き受けるときは、債権者への連絡は必要ないとされている。その理由は?
Ⅱ 取扱い
この事例は、債務免除を目的として会社分割法制を濫用する場合に該当し、濫用的会社分割と呼ばれている。
① 濫用的会社分割に対抗する手段としては、2つの方法がある。
(イ)詐害行為取消権の行使
濫用的会社分割を詐害行為として取り消し、担保となる財産を保全する方法。
(ロ)法人格濫用法理の活用
濫用的会社分割の目的の不当性から別法人についても実質的に同一とみなして、分割会社にも債務の履行を請求する方法。
② 連絡が必要でない理由
分割会社にも分割の対価として設立会社の株式が割り当てられるところから、分割会社の純資産は分割の前後で変わらない。従って、債権者保護手続きの必要がなく、債権者に通知は必要はないという理由。
Ⅲ 根拠
[1] 詐害行為取消権 民法第424条
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
[2] 権利行使の濫用 民法第1条3
権利の行使はこれを濫用してはならない。
[3] 債権者保護手続き
会社法では、会社分割に関して債権者保護手続きを規定する。この場合、意義を述べることができる債権者は会社分割後に債務の履行を請求できない債権者に限られる。
しかし、本問の場合のように分割会社に設立会社・承継会社の株式が割り当てられる場合には、会社財産は変わらず従って債権者保護手続の必要がないと考えられたからである。
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