AM10時過ぎに店長が店員に告げ郵便局へ行く。



30分程して帰ってくる。



店員に話し掛け、印紙をレジカウンター真ん中に置く。

店長はこの時の会話を、あまりにも当たり前過ぎて覚えていなかったが、「ただいま」とか帰って来た事を告げる話をしたようだった。

店員は二度、振り返ったが精算業務に夢中なようで、店長の問い掛けにも適当に返事をしているようだったし、普通に振り返ったら視界に入るはずのレジカウンターも店員の目には入っていないようだった。
(もともとこの店員は一つの仕事をしていると視野が狭くなり他の事に気付くのが遅くなる。彼女は店内で作業しているのに事務所で作業している私の方が先にお客様に気付くなんて事はしょっちゅうだったし、よく注意していた)



「だろう」が重なったミス…

店長は郵便局に行く事を告げて行ったから、帰って来て店員に声をかけ印紙を渡したら(置いたら)気付くだろう…

店員は印紙を買って来たら声を掛けられ、手渡しされ棚にしまう事を指示されるだろう…

なんてお互いのこうしてくれるだろうって思い込みが大きなミスを生んでしまった。



店員は精算を終え、レジ周辺を見渡すことなく事務所へ。(レジ違算や精算のミスはレジ周辺の片付けやチェックである程度防げると、いつも注意していたが…)





レジカウンターに置かれっぱなしの印紙。





私達はビデオを見ながら、店員が気付くはずもないのに気付かなかったから盗られたのに「気付けーーっ!」「気が付いてーーっ!」って何度も言っていた。






事務所に入り、お金を金庫に投入し、書類を整理する店員。
二人とも事件が起こるなんて思いもしてないから、おしゃべりしながら楽しそうに仕事をしている。


結果は解っていても、「早く!レジに戻って!」ってビデオに向かって言ってしまう。


10分くらい経過しただろうか?ダラダラと書類を片付け、パンの2便が来てようやく店内に出て行った。



「…たら…れば」を言い出したらキリが無いが無駄話をせず、さっさと店内に戻っていたら…なんて悔しく思う。




でも、その間にお客様が来なかった事は不幸中の幸かな?
見知らぬ人が印紙を盗って行っていたら、返って来なかっただろうから。



店員が店内に戻ろうとしているとき、先ず女性のお客様が入って来て、続けて先生が入って来た。



先生は発売日の女性週刊誌と他の週刊誌を手に取り、「(レジ)お願い」と店員を呼ぶ。



店員はバックから出て来ていたが、レジには行かず検品作業をしていた。



店員よりほんの少し早くレジに着いた先生。


カウンターを見て
「うん?」
って顔をした。


そしてすぐさま持っていた雑誌を印紙の上に置いて隠し、レジに向かってくる店員を見ながら印紙をレジカウンターから一段下がっているお客様用の手荷物台に移す。


覗き込めば見えるところなのだが、店員もまさか印紙が盗られるなんて思ってもいないから見ないし、先生も平然と店員にしゃべり掛けて、そこから気を反らせているような感じもあった。


一冊づつ裏向きに差し出された週刊誌を普通にレジ打ちする店員。


三冊目を打ち終えた時に先生は袋は要らないと告げ、お金をトレーに出しお金の方にに気を引かすようにし、店員から一冊づつ受け取っていた週刊誌を自分で整え、その週刊誌で手荷物台の印紙を隠すように重ね、つり銭とレシートを受け取り出て行った。


店員には印紙が見えないようにしていたが、モニターには写っていたし、印紙と重ねていたのは女性週刊誌。
白っぽいはずの女性週刊誌が緑色に写っていた。



躊躇いも無いような、余りにも鮮やかな手口にビックリしたし、もしやカウンター周りの商品やおにぎりなんかの棚卸し差異は先生が原因じゃ?なんて感じた。

店員なんかはレジで預かり金をしまうのが少しでも遅いと注意されていたのにあの注意は何?
それも隙を狙っていたの?

今までの信頼が一気に崩れ、殴りたいくらい腹がたった。