奴がやってきた。


午前4時半ごろ作業をしていたら、

「オーナーいるかっ~?」
って大きな声。



奴が来た。


レジに居た嫁は固まっていたが、私は【もう何でも言って来いって】気持ちで話を聞きに行く。




すると



「覚えてるか?」
って拍子抜けする言葉。



「わしは終わったことにはこだわらない。」
え?終わったの?



「それに俺がどんな奴か解ったろ!」


心の中で
へいへい、解りました。
チンピラ崩れで警察に弱くて、私みたいな素人から目を反らし、押しきれない気弱いチンピラ詐欺師ですね。
と呟く。

本人は凄い奴だろって言いたいみたいだが(笑)




ちょうどその時来ていた大きな飲食店の従業員さんが
『あの人、うちで何回も揉めて出入り禁止になった奴だから気をつけて』

と教えてくれた。



なるほど。
あの飲食店ビルで揉めるのはある意味勇気があるし、て、ことはあの人が効くのかなんて新しいヒントを得る。







奴は
「ま、これで終わったことだな。わしもこれ以上言わん」

と握手を求めて来た。

え?
終わり?



ようはこれ以上引っ張ると我が身がヤバイと思った訳ね。



奴が帰ったあと
次、来てゴネたら怒鳴り付けてやろうかと言って嫁と笑った。