1週間・・・
短いようで長い、長いようで短い期間。
現在の感覚なら「あっという間」の期間だが20代半ばの当時には結構長く感じられたのも確か。
それにしても新任の開発担当者、いくら場所を押さえオープン日を決めていたからって、大きな取引をするのに1週間と言う期限の切り方は強引過ぎるんじゃ?
もちろん正式契約と言うんじゃなく候補として手を挙げてくださいって期限だが。
担当者は
「既存店リロケートで1人候補が、もう1人施行業者の関係の方で脱サラの方が・・」
と他の候補者の存在をちらつかせる。
もしかして私の優柔不断さを見抜いていたのか?
開発の価値を高めたかっただけなのか?
どちらか分からないが1週間と言う期限にプラス競合の存在も告げた。
1週間ずいぶん考えた。
・・・
いろんなことが頭を駆け巡った。
人生でこんなに短期間にいろんなこと考えたのはこの時だけじゃないかな・・
10代から5年ほど働いていたラーメン屋での独立も良いかな?
成功は約束されないが家業として地道にってことならいい仕事かも知れない。
大きな資金は要らないし、コンビニほど人手もかからない。
でも明日から仕事ってわけには行かない。
場所を決め、味をつくり・・・ってやってたら1年ほどは稼ぎはないだろう。
コンビニを続けるなら新興チェーンが来てやられてる現状で完全独立するのに、このチェーンで良いのかも悩んだし、紹介の場所で良いのって立地でも悩んだ。
紹介は繁華街立地。
現在の立地と180度違う立地。
経験も生かせないだろうし、土地柄トラブルも心配。
それより師匠はどう思う?
師匠の愛着ある2店舗目の店。
簡単になくせる?
そう思うのは私だけ?
資金は?
なんとか契約金等は揃うが商品代金は少々足りない。
どうしよう・・・
それにコンビニでまだまだやり残したことがある。
ライバル店長にも勝ててない(気がする)し。
そんなこんなを師匠に相談すると、
「先行き悪くなるのが分かっているこの地よりも、今後がある新しい地でやるほうが良い、他の仕事でも良いしラーメン屋も魅力あるじゃない。でも凄い良い立地で出来るコンビニの話だからもし資金が足りないならこの店の敷金などで返ってくるお金の一部を貸してあげるから頑張ってみな」
とコンビニが根付く前にコンビニを始めた方らしい言葉。
流れや運を生かせよと言いたげだった(と私は感じた)。
しかも半独立した身に対し融資の話まで。
悩みに悩んだ1週間・・・
期限が来た。
決めた!!コンビニやろう!!
その決断を担当者に伝えると予想外の返事が。
同じ立地内でもう一店舗、押さえた場所があるよ、と。
「ちょっと考えてみて」
まったく簡単に悩ませることを言うものである。
その言葉でもう1週間程度、悩むことになる。