飲料の補充が終わりそうになり、在庫の箱をばらして棚に入れようと移動させた時…
『冷たっっ』
嫌な予感。
切れたかな?
切れてる。
やっちゃった。
血、垂れてるし。
このウォークイン冷蔵庫に入っていると身体全体が冷えてるから、麻痺しちゃうんだよね。
ほら、トゲを抜く時(若い人たちはトゲが刺さるような遊びしないか?)、氷で冷やしたりして痛み和らげるでしょ?
身体全体がそんな感じになっちゃう。
とにかく処置しないとと、こぼさないようにそーっとウォークインから出る。
『店長(嫁)、血出ちゃった(笑)』
「えっ!?嫌ー!!
どうしたん?
垂れてるーーーー
地面血だらけだし」
『なんか挟まって・・・って、紙持ってきてよ、おび状にして』
「アルコールは?」
嫁も慌てたのは最初だけで、消毒を心配するほど冷静になってる。
それに、なんだかこんな時本人は痛みを感じず、逆に笑いがこみ上げる。
「はい、紙。紙でいいの?」
『バンソウコウだとすぐ染みてくるでしょ。血固まるまで紙でいいの』
「すぐ固まる?結構出てたよ。前もなんかあったけど派手に出るよね」
『ホントは縫わないといけないかもな』
「でも医者行かないんでしょ?」
『2,3日でくっつくでしょ。止まんなかったら行くけど』
ここから過去の冷えっとする痛い話で盛り上がる。
「いつだったかも3日くらい血止まらなかったよね」
『なんだろ?あれも手だったけ?』
『手と言えば、野菜箱の強力ホッチキス人差し指に貫通したことあったよね』
「それ見せた挙句、自分で抜くし。あれは怖かったよ」
『あの時も笑って、みんなに見せびらかしていたよな』
…
そんな話をし終えたあと、「心配」と言いつつ嫁は帰って行った。
この頃になると、疼きはじめる。
でも、牛乳とか弁当片付けなきゃ。
…
今もって疼くが、指先は自由なのでキーは打てるし普通の生活に不自由はないみたい。