国立がんセンターの統計によりますと、過去30年間で口腔がんは軽く3倍を超す勢いで増加中とのことです。歯科医師は常日頃、歯だけではなく患者さんのお口の粘膜も拝見していますが、口内炎などの粘膜疾患と初期の口腔がんの鑑別が付け難いのが現状です。


そこで近年登場してきた400~460nmの波長を使った光学診査機器です。

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この機器は青色の光を発します。正常粘膜細胞にある補酵素やコラーゲンにこの光が当たるとそれらは自然蛍光を励起してごらんの通り青緑色に写ります。(上の写真は正常な舌)


ところが口腔がんや前がん状態では補酵素の減少やコラーゲン線維の破壊が起こりますので蛍光を発せず暗緑色として観察されます。(下の写真オレンジ矢印)

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この患者さんの場合は単に噛みしめ癖による舌の炎症と考えられ、現在経過観察中です。(炎症があると充血し、ヘモグロビンが増えます。そのヘモグロビンもこの光を吸収するので暗く写ります。)

口腔がん青色光照射検査は光を当てるだけですので苦痛なく行えます。医療の進歩は患者さんに着実に恩恵をもたらしてくれてますね。皆様も悩まずお気軽に検査をお受け下さい。