皆様、あけましておめでとうございます。昨年は記事の数もすっかり減ってしまったけど、今年もこのブログ、よろしくお願いします。新年一発目は恒例の香港映画です。

 

張徹(チャン・チェ)監督の「五遁忍術」 (1982年、Five Element Ninjas)。日本でもDVDが出ていて、邦題は「少林拳対五遁忍術」なんだけど、別に少林拳と忍術の闘いではない。

 

程天賜(リッキー・チェン)主演。これだけで、ヒーローものではなくて、チームでアクロバティックに戦う作品だろうな、と分かる。以前紹介した、同じ張徹監督の「沖宵樓」とキャストもかなり重複してます。

 

武林の盟主、袁[(關鋒)に

 

対立流派のボス、康(詹森)が闘いを挑むが、劣勢。

 

康側は切札の日本人武士(黃偉棠)を出してくるが、最後には袁側にやられてしまう。

 

そこで、彼の師である忍者之王が“五遁陣”なるフォーメーションで待つ、という果たし状を送る。陳惠敏(チャーリー・チャン)演じるこの忍者之王、剣淵夢道(けんぶちむどう)というすごい名前だ。

 

袁側は先発隊を送り込む。

 

五遁陣は、金・木・水・火・土の各ゾーンで構成され、それぞれの忍者が彼らを待ち受ける。最初のゾーンは「金」。

 

「木」。これ分かりやすいね。

 

水遁の術の「水」。

 

これが「火」のゾーン。

 

最後の「土」はモグラ叩きのように地中から忍者が現れたり消えたりする。

 

張耀星、蕭玉、林志泰、王華など、先発隊全員が彼らにやられてしまう。冒頭では出番の多かった龍天翔もここで無念の死。

 

道場に残った者たちにも、剣淵が送り込んだ女忍者によって敵の魔の手が忍び寄る。

 

敵とはいえ、本作のヒロイン的存在となる純子というくノ一を演じたのが陳佩茜。知らない女優だが、アクション女優じゃないので忍者にしては動きがいかにもダサい。

 

大勢の忍者たちが道場に乗り込んでくるが、忍者たちが使う武器の名前が表示される。実は、映画の冒頭で、登場する忍者の武器や衣装は、徳川幕府刑事図譜などいくつかの文献を参考にしたものだと説明され、所蔵品や著作者の名(もちろん日本人)が何人か紹介される。どこまでリアルなのかは定かではないが、忍者が使っていた武器や衣装を映画で再現している、ということなのであろう。

 

ここまで活躍してきた羅莽(ロー・モン)が純子の手によって殺されてしまうのが残念。袁の盟主も殺されてしまい、生き延びたのは主役の程天賜だけ。

 

彼は、忍術をよく知る老師(周小來)を訪れ、兄弟子たち(王力、余太平、朱客)と修行に励む。ちなみに、本作のアクション監督は程天賜と朱客となっている。

 

修行シーンはいささかあっさりしすぎ。五遁の各ゾーンにどう対抗するかなどは明らかにされない。

 

クライマックスは剣や槍などの武器を使った闘いで、チャーリー・チャンの足技は見られないのかなと思ったら、途中から鉄爪のついたスパイク足袋を履いての足技攻撃となり、ファンも納得してのエンディングとなる。

 

どうでもいいシーンに時間を割いたり、5つのゾーンの忍者たちの攻略方法などはあっさり端折られていたりもするし、そもそも強烈なヒーローが存在するわけでもない。が、本作はアクションシーンが身上だけに、アクションさえちゃんとしていればある程度満足感は得られる、ということを示したような作品でした。