『アルは、もうすぐ14歳になるな』と寂しそうに、ロンは言った。
『ロン、そうよ。あれから2年。あの子、今どこにいるのかしら』と、キャシーは遠くを見つめた。
『ただいま!』元気よく、長男ルドルフが、帰って来た。
『今日は、父さんと母さんに紹介したい人がいるんだ』
『何だい、改まって・・・さては・・・』とロンが微笑んだ。
『まぁ、大変。それならもっと、きちんとしなくては・・・』とキャシーは、自分の姿を心配した.なにせ、この2年というもの、アルの心配ばかりで、ろくに鏡も見ていなかったのだから。
『母さん、そのままで大丈夫だよ。気にする子じゃないんだ』
『そうは、いっても、ねぇ、ロン・・・』
『いいじゃないか、ルドルフがそう言うんだ。いつもの姿で気取らずにあおうじゃないか』
『・・・そうね。わかったわ。』
『じゃ、いいかい?』ルドルフは、とても楽しそうに笑った。そして・・・
『メアリー!』と名を呼んだ。
『メアリー?!』二人は同時に驚いた。
そう、目の前に現れたのは、お店のアルバイトだったメアリー・キュートだった。
彼女は、とても穏やかなオーラを持つ子として有名だった。顔は、それほどの美人ではなかったが、誰しも認める、愛情に満ちあふれた笑顔と人を思いやる気持ちに長けた女性だった。アルバイトをしながら、助産婦の資格を取るべく、学校に通っていたが、間もなく、念願の資格がとれそうなところにきていた。
『メアリーと・・・ルドルフが?・・・気づかなかったわ・・・いつから?』キャシーは、眼を丸くして質問した.
『アルが旅に出る少し前から・・・』少し言いにくそうに、ルドルフが答えた。
『あの時期に・・・そう・・』キャシーは、うなづいた。
『僕が、旅に出るアルを心配して、少し気落ちしていた時に、メアリーが言ってくれたんだ。皆アルを愛してる。追い出す訳じゃないのよ。アルは、とても頭の良い優しい子だわ。私にはわかるの。だから、笑って元気良く送り出してあげましょう。そして、無事の帰りを何年でも、キャンディーランドの皆で待つのよ。って』
『メアリー、そんな風にあの子を見てくれていたんだね。感謝するよ』とロンは、涙を浮かべてお礼を言った。
『父さん、僕たち結婚するよ。メアリーが、助産婦の資格を取ったらだけど。結婚して、二人でアルの帰りを待つよ。アルが帰って来たら、びっくりさせてやるんだ。僕たちは、何も心配していなかった。お前なら必ず無事で帰ってくるって信じていたからな!って言ってやりたいんだよ。そして、アルがいつでも泊まれる様に、家に、アルのベッドを置いて待っててやるんだ。子供っぽいかな?』
『いや、良いだろう。良いと思うぞ。アルの所為で不幸になった!なんて言うより、よっぽどお前達がアルを思っていたかがわかるさ。アルは、幸せ者だな』と言って、涙を見せた。
『母さん、結婚式は、盛大にやるよ!遠い国に・・・どこかわからないけど、そこまで届くくらい盛大に騒ぐんだ!白いハトを飛ばして!!』
『ええ、ええ、わかったわ。ルドルフ。大賛成よ!でも、二人とも・・・これだけは言わせて』
『何?母さん』
『おめでとう』
『私からも言わせておくれ。おめでとう!!メアリー!ルドルフ!』
『・・・ありがとう!!ありがとう母さん!父さん!』
そして、一年後。
挙式の日は、ハニーバンチ家とキュート家両家で、相談して決めた。
どうしても、皆の意志が一つになる必要のある候補日だったから・・・
10月31日。
そう、アルフレッドが、3年程前に旅立ったあの日と同じ日付。
次の10月31日で、アルは、15歳になるのだった。
誰もが、生きていて欲しい!いや、生きている!!と自分たちに言い聞かせていた。
ドクターチョコレートハーツは、医学書通り進めたものの、アルが行方不明になったことで、心を痛めていた。最近では、胸に激痛を覚える様になっていた・・・
だが、今は、ルドルフとメアリーの結婚を心から祝ってやりたいと願っていた。
そして、とうとう『10月31日』がやってきた。
続(いちゃうよ~)
コメントのお返し
まめ様
頑張るよ~!
>続きが~続きが気になる~
konta 様
ほんとよねぇ。
>のりのりジャン(笑)
Flowergirl-K 様
そうでしょ?何となくは決めてますが、毎回下書きなしの思いつきですから。。ははは。
>海で遭難したアルがどうやって甘口に成長して帰ってくるか、まったく想像がつきません。