「人は不意に消えてしまう」最新作でも台詞にした言葉だったけど、本当に人は不意にいなくなってしまう。

成し遂げられていない夢のひとつに「好きな漫画の実写映画化」がある、松本零士先生の「セクサロイド」と和田慎二先生の「超少女明日香」。まだ松本先生の方は志半ばなところもあるが(中国、フランスでも映画化を試みた)、和田先生の方は生前に叶えられず、物語も未完の為、もう誰も映画化出来ないと思う。

深作健太監督が「スケバン刑事」を映画化した時は、他人事?のように喜んでいらした(先生はかなりのアイドルファンでした)。

何度か書いていますが、「仮面天使ロゼッタ」のあすかは砂姫明日香から、神健一郎はそのまま神恭一郎から(先生の許可…というか苦笑を得て)付けた名前で、「ノエルサンドレ」の主人公明日香リンは明日香はそのまま、リンは「傀儡子リン」から。麻宮はご存じ麻宮サキ、アリサは「銀色の髪の亜里沙」から頂いた(世間話の延長ではあったけど、「使わせてください」、というか「使いますよー」とお断りしていた)。

他の登場人物の名前も先生の漫画の登場人物の苗字と名前を組み替えて付けている(キャラクターの同一性はほぼない。野分はちょっとあるかな)。

芝居には「行く行く!」と仰っていた。

結局和田先生は芝居には来られなかった。その年の7月に「突然」亡くなられたからだ。

 

人は不意に消えてしまう。

 

ちっとも「ノエルサンドレ」の内容についての話にならない。ご存知の方も多いと思いますが、本作はアリスインプロジェクトの座付き?脚本家麻草郁氏と共同脚本になっていますし、事実そうです。いつもより多めの原作を書き、途中まで書き進めていたものを見てプロデューサーの鈴木さんが、「一度すべて麻草に書かせてください」と引き上げられた。麻草郁氏は天才肌で、実際博識で、隙のない脚本にしてくれた。ではあるけど、どうも畑澤作品ぽくない。それで僕が書いたものと混ぜてみて、かなり台詞も書き直した。推敲を重ねただけに上演されたものは(演劇自体の出来はともかく)好評だった。ただ、まだ(演出してても)僕の感性に合わない部分や理解不能な部分があり10年経ってもう一度自分で書き直した脚本が昨年上演された「時空警察シグレイダー刻醒エヴェイユ」である。麻草郁氏は今も独自の世界観と計算されつくされ高度なシナリオで脚本家、演出家としても活躍中なのはご存知の通り。

 

2014年に「時空警察ヴェッカー改ノエルサンドレ」として伊勢直弘氏の演出で再演された際、直接脚本に手は入れていますが(ゲストキャラが異なるため)中国在住中だったので、殆ど関わっていません(伊勢氏にも劇場で1度しか会っていない)。

 

この公演が終わった直後、いよいよ?中国へ旅立ってしまうので「日本での最後の仕事」と思って(技術は伴いませんでしたが)半端なく気合を入れてやった事は忘れません。

主演して頂いた宮崎理奈さん、八坂沙織さんは今も舞台を中心に活躍中で、嬉しい限りです。

何より百川晴香さんが(ほぼデビュー作)演じた時空特捜トレミーが忘れられません。

 

再演版はDVD化されているのですが、本公演と「彷徨のエトランゼ」はDVD化されておらず、2度と観る事は適いません。

(いよいよ次がクライマックス!というか、第1章最終回かな)