当院がPGT-Aに力を入れている理由 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

当院では、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)に以前から力を入れて取り組んでいます。

2020年1月から2026年6月までに、当院では839名の患者様に対して、合計1,932胚のPGT-Aを行ってきました。

 

これだけ多くのPGT-Aを行ってきた理由の一つは、当院には、体外受精を繰り返しても妊娠に至らない方、良好な胚盤胞を移植しても着床しない方、流産を繰り返している方、そして年齢が高くなってから治療を開始された方が多く来院されるためです。

 

胚盤胞まで育ったことや、形態的に良好な胚であることだけでは、その胚の染色体が正常であるかどうかまでは分かりません。

特に女性の年齢が高くなるにつれて、胚の染色体異常の割合は高くなっていきます。

そのような状況で、良好胚を何度も移植して結果が出ない場合、「なぜ着床しなかったのか」「なぜ流産したのか」が分からないまま、同じ治療を繰り返すことになってしまうことがあります。

PGT-Aは、この問題を考えるための一つの重要な検査です。

 

胚盤胞から一部の細胞を採取して染色体を解析し、その情報をもとに移植する胚を検討します。

ただし、私はPGT-Aをすべての方に行えばよいとは考えていません。

PGT-Aにも限界がありますし、胚生検を行えば必ず妊娠できるという検査でもありません。また、採卵できる卵子数や胚盤胞数が少ない場合には、PGT-Aを行わずに移植するという考え方が適していることもあります。

 

大切なのは、年齢、これまでの採卵回数、得られた卵子数、胚盤胞到達率、移植歴、流産歴などを総合的に考えて、その方にPGT-Aを行う意味があるのかを判断することです。

 

PGT-Aは単に「正常胚を探す検査」ではありません。

これまでの治療がなぜ結果につながらなかったのかを考え、次の治療方針を決めるための重要な情報になることがあります。

 

当院ではこれまで多くの胚を解析してきた経験をもとに、PGT-Aを行うべきかどうかも含めて、一人ひとりの治療経過に合わせてご提案しています。

 

PGT-Aをすること自体が目的ではありません。

最終的な目的は、できるだけ無駄な治療を繰り返すことなく、その方にとって最も適切な方法で妊娠・出産につなげることです。

今後も当院では、これまで蓄積してきた経験とデータを生かしながら、PGT-A・PGT-SRを必要とする患者様に、適切な治療を提供していきたいと考えています。