以下AFPBニュースからです。


ブラジル保健省はこのたび、帝王切開による出産が国内で「大流行」している現状に歯止めをかける必要があるとの意向を示した。同国では現在、帝王切開による分娩が全出産の半数以上を占めており、これは世界で最も高い割合だという。

 ブラジルでは、痛みを不安に思ったり、経膣分娩によって性生活に永続的な変化が残ることを心配したり、手術に関連したより高額な医療費を得たいと思われる医師らのアドバイスに従ったりすることで、計画的な帝王切開での出産を一も二もなく選択する女性がますます増加している。

 同国では、新生児2億200万人の平均56%の分娩に帝王切開術が使用されていることがデータで示されており、そして民間の産院ではこの数字が85%にまで急増するという。

 この割合は、世界保健機関(World Health Organization、WHO)が推奨する15%に比べてはるかに高い。

 アルトゥル・キオロ(Arthur Chioro)保健相は「国内における帝王切開による出産の大流行は容認できないもので、公衆衛生問題の一つとして取り扱う必要がある」と述べ、帝王切開術では、新生児が呼吸困難を起こすリスクが120%増加する上、母親の死亡リスクが3倍になると同国保健相は警告した。

 同国政府はこのたび、この風潮に歯止めをかける目的で、医師らに対する規制を強化し、医学上の必要性が認められる場合でない限り、妊婦らを説得して帝王切開術を受けないようにさせることを求める新たな取り組みを開始した。

 民間の保険に加入するブラジルの女性は今年7月から、帝王切開による分娩が産院でどの程度行われているかを示す統計データを主治医や診療所に要求できるようになる。

 そして民間の医師らは今後、帝王切開を選択することに伴うリスクを母親らに周知させる義務を法的に負うことになるという。

 ブラジル国家民間補充医療保険サービス監督庁(ANS)のアンドレ・ロンゴ(Andre Longo)局長は、AFPの取材に「さらに医師らは、妊婦に陣痛が始まる時点からの同妊婦に関する全てのデータを書類に記入しなければ、医療費を受け取れないようになる」と語った。これにより、医師らは陣痛が始まるのを待ってから、帝王切開術に着手しなければならなくなる。

■自然分娩の痛み回避と「俗信」

 妊娠初期のアンケートでは、ブラジルの女性の約10人に7人が自然分娩を選ぶと答えている。

 だが臨月に達する頃までには、最終的に経膣分娩を選ぶ女性の数はこれよりもはるかに少なくなる。

 ブラジル婦人科協会(Brazilian Federation of Gynecological Associations)のベラ・フォンセカ(Vera Fonseca)会長によると、多くのブラジル人女性が帝王切開を選ぶ理由は、自然分娩の痛みを回避するためだけでなく、経膣分娩が以降の性生活に負の影響を及ぼすと信じられているためだという。

 同会長は「ブラジルの女性は性生活への影響を懸念しており、出産で会陰部が変化することを恐れている。これは俗説でしかない」と現地紙フォリャ・ジ・サンパウロ(Folha de Sao Paulo)に説明した。

 他方、公的医療制度の評判が悪いことも要因の一つとされている。

 同国の妊産婦支援団体GAMAのコーディネーターを務めるアナ・クリスティーナ・デュアルテ(Ana Cristina Duarte)氏は「ブラジルの公的部門での助産は、処置が非常に乱暴で粗雑なため、女性らはそこでの出産を避けたがる。その理由からも彼女らは、営利目的の(民間)医療機関に頼ることになる」と指摘する。

 さらに「ブラジルでは、帝王切開は手術の一種ではなく、出産方法の一つとみなされている。そのため、リスクに対する警戒心が欠落している」と付け加えた。(c)AFP/Rosa SULLEIRO