精液検査について説明します。
現在不妊症の原因の約4割は男性が関係しています。
精液検査を行うと異常があるかどうかすぐにわかります。
男性にとってこの検査は恥ずかしくてやりたくない
という気持ちがある事は十分理解できます。
ただ不妊の原因の4割も占めている検査を
行わずには前には進めません。
スクリーニングの早い段階での必須の検査と言えます。
精液検査は男性不妊症の診断に不可欠で最も基本的な検査と言えます。正しい治療を行うためにはこの検査を正確に行う事が必要となります。
今回以下について順に説明したいと思います。
1 精液採取法
2 精液検査の基準値
3 精液所見に影響を与える因子
4 ART適応の選択
1 精液採取法
精液を採取する場所、禁欲期間、搬送方法は検査結果に大きな影響を与えます。正しい検査結果を得る事が適切な治療につながるため採取方法は非常に重要と言えます。詳細は以前の記事「精液検査 正しい精液採取法
」にまとめてありますので参考にして下さい。
2 精液検査の基準値
以下にWHOが提唱している精液検査の基準値を示します。
表1 精液検査の基準値
精液量 | 2.0ml以上 |
pH | 7.2以上 |
精子濃度 | 20×106/ml以上 |
総精子数 | 40×106/ml以上 |
精子運動率 | 運動精子数が50%以上、もしくは高速運動精子が25%以上 |
精子正常形態率 | 15%以上 |
精子生存率 | 75%以上 |
白血球数 | 1×106/ml未満 |
表2 精液検査の表記法
正常精液 | 表1の基準を満たすもの |
乏精子症 | 精子濃度20×106/ml未満 |
精子無力症 | 運動率50%未満 |
奇形精子症 | 形態正常精子15%未満 |
乏精子精子無力奇形精子症 | 精子濃度、運動率、奇形率の全てが異常 |
無精子症 | 精液中に精子が存在しない (遠心分離で確認) |
無精液症 | 精液が射出されない |
3 精液所見に影響を与える因子
日常の習慣、嗜好、食生活が精液所見に影響を与えています。この件についての詳細は以前の記事「精液所見に影響を与える因子 」にまとめてあります。
4 ART適応の選択
精液所見を元にして今後の治療方針を決めていきます。詳細は以前の記事「ART適応の選択 」に記載してあります。