野党の抵抗で、13日の採決が見送られたカジノ実施法案。安倍政権は15日にも、衆院通過を強行するつもりだ。国会審議では、ギャンブル依存に焦点が当たっているが、中東の専門家は、テロを懸念している。イスラム諸国を敵に回す可能性が大きいからだ。

 カジノが解禁されると、日本企業は運営実績がないため、外資のカジノ企業に運営を任せる予定だ。

 最有力とされているのが、トランプ大統領の最大のスポンサーであるアデルソン会長(84)が経営する「ラスベガス・サンズ」だ。アデルソン会長は「1兆円投資」を公言している。

 ユダヤ系米国人であるアデルソン会長は、ユダヤ人国家をパレスチナに樹立することを目指す筋金入りのシオニストとして有名。イスラエルが進めるパレスチナ占領地への入植地建設を資金面で支え、イスラエル建国70年にあたる今年も、イスラエルに7000万ドル(約77億円)寄付している。

つまり、アデルソン会長率いるサンズ社の参入は、日本のカジノで稼いだ収益が、回り回ってイスラエルの入植地建設に充てられる可能性があるということだ。東京外大名誉教授の藤田進氏(アラブ・パレスチナ現代史)が言う。

「かつて日本は、イランをはじめイスラム諸国と友好な関係を築いていました。ところが、安倍政権になってから、日本のイスラエル寄りが鮮明になった。とりわけ、トランプ大統領誕生後は露骨です。そこにもってきて、カジノ解禁です。もし、サンズ社が参入することになったら、少しでも中東を知っている人からすれば、一方的にイスラエルに肩入れしているように取られかねない。もちろん、依存症の問題も大事ですが、カジノ解禁がイスラム世界にどう映っているのか。野党も含めてきわめて鈍感だと思います。日本が、テロのターゲットになる危険も高まると言わざるを得ません」

 中東外交にも火種――国民が反対するカジノ法案を強行成立させる必要があるのか。