昔から夏至から数えて11日目にあたる日を半夏生といいます。現在の定義では太陽が天球上の黄経100度を通過する日です。2024年は7月1日でした。

半夏生には蛸を食べる風習が西日本にあります。この季節、お弁当にも蛸が登場します。



ウェザーニュースが調べた結果では、「毎年食べる!」「食べたことがある」の回答が多かった地域は、やはり関西が35%と一番多く、中国・四国地方が29%で続いています。都道府県別では兵庫が40%、奈良が38%、京都が36%、大阪・和歌山が34%と関西勢が上位を占める結果でした。

半夏生は農作業の大切な節目です。半夏雨と呼ばれるように、大雨になることが多い時期です。田植えを終えておかないと収穫が減ると伝えられてきました。

田植えを終えて、タウリンのある蛸で元気回復するという習慣です。半夏生から夏に向けて水揚げされる蛸は「麦藁蛸」と呼ばれ、おいしさが増しています。

我が家でも一応蛸を食べました。


蛸以外にも、半夏生ならではの食文化があります。香川県ではうどんを振る舞い、労をねぎらう習わしがあります。奈良県吉野川以北の郷土菓子に、半夏生の日に食べられる、小麦ともち米を混ぜた餅に黄粉をまぶした「半夏生餅」があります。

勝山でジオパークの活動をすすめている山内千鶴代さんによると、半夏生に丸焼き鯖をいただく習慣があるそうです。「江戸時代、お隣りの大野市では、お殿様が田植え後の領民に疲れが出ないようにと丸焼き鯖を推奨したのが始まりとか。スーパーの玄関先では鯖を焼く特設テントが張られ、炭火で焼いた丸焼き鯖がふっくらジューシーで美味しそう! 我が家でも2歳の孫をはじめ家族全員で頂きました。今年の夏も元気に頑張れます」とSNSに紹介されました。


いつまでも明るき野山半夏生    草間時彦
くらげなす透明傘も半夏雨    上田五千石
半夏蛸とは化けて出る蛸かとも  後藤比奈夫
大章魚を愁のごとくさげてをり   飯島晴子
水揚げの鯖が走れり鯖の上     石田勝彦

半夏生五臓の断層写真撮る     かずモン
万歩計六千五百半夏生
抗体は持ちたきものよ半夏生
半夏生食事記録を丁寧に
両親の寿命超えたり半夏生
宇宙人舞ひ降りるごと蛸を干す
飯蛸を噛みしめ昔話など
大野なれば鯖一匹や半夏生
鯖寿司や増水激しき高野川
首折りの鯖がおすすめ昼の膳