読書ブロガーさんが紹介していた本。
読んでみたいな〜と思っていたら、古本屋をブラブラしている時に目に飛び込んで来ました!縁だと思い、お買い上げ
題材はDV。重い内容なんだけど、面白くて一気に読みました。
DV被害を受けてる人は、その状況を恥だと思うから人に話さないし、こうなった責任は自分にあると思い、暴力を「愛情」だとも思うのだと。相手に悪意は無いとも。。恐ろしい。
主人公の紀子は、夫が自分に「意味も理由もなく暴力を振るっている」ということが理解出来て、初めて逃げ出す決意をする。
ある日、帰宅時に家にいなかったというだけで怒った夫に、バーベキューの串を足に突き刺され気絶し、目覚めて夫がいないことが分かると、そのまま逃げ出す。
シェルターに入ったとて無事ではなく、夫が居場所を見つけて追いかけてくるかもしれない恐怖に怯える。
紀子が入ったシェルターは、暴力を受けて逃げてきた女性たちが、人生を安心して過ごせるように、各地方に散らばる同じようなシェルターと連絡を取り合い、「持ち回り」としてお互いの夫を殺すことをしていた。。。
もう1人の主人公の薫は刑事。こちらも、警察庁に勤める夫から暴力を受けている。
離婚調停を申し立てて告訴状を出したが受理されず、「私生活を警察の問題にするな」と言われて左遷されてしまう。
警察が「男は男を守るクソ組織💢」として描かれている。
この2つの線が、ある事件の被害者を通じて一本になっていく展開です。
なんで早く逃げないのかな、と思うけど、私とて他人の不機嫌に晒された時、
「私が原因?何か悪いことしたのかな」
と自分に原因を探してしまう。女性はこういう傾向にある人多いのではないかしら。
暴力に支配されていたら尚のことなのだと思う。
もう一つ。シェルターに入った紀子は共同生活を送る仲間とのゲームで、自分で物事を決めたり選択したりすることを学んでいくのだけど、支配されていると自分で考えて物事を決めるということも出来なくなるのだと知りました。
お互いの夫を殺し合うシェルターを作った登場人物のセリフに、
「法律は力のあるものが自分に都合良く作ったものにすぎない。法律は『殺すな』と言うけど、踏み躙られてきた者にとっては『殺されるな』なの。法律を基準に考えているうちは、そこに気付かない」
とあって、そういう考え方をしたこともなかった!と思う。
確かに、ストーカーに殺された事件も、実際に事が起きるまで警察は何も出来なかったというものね。
身体だけでなく心もぶっ壊すDV。恐ろしい。
でも本の中では最後はスカッと救われた結末で良かったです。