LUNA SEA「LUNACY」

 

結成当時のバンド名「LUNACY」をアルバム・タイトルに冠した、LUNA SEA活動休止 (終幕) 前のラストアルバム。初期のスカスカ・サウンドからは想像も出来ない、重厚に作り込まれたサウンドが特徴。実際、一番時間をかけて制作されたアルバムらしいです。V系ファンは元より、ロキノン・バンドのファンとか洋楽ファンにも受けそうです。アルバムのジャケットも従来のイメージからの脱却を狙っているよう。

 

5人の個性が、純度の高い結晶となって生み出されたような、まさに活動休止前のラストアルバムにふさわしい傑作。っていうか、こんな最高傑作を作ったから活動休止したのかな?LUNA SEA、あんまり詳しくなくて、すみません。

 

LUNA SEAのシングル曲はどれも好きなんだけど、やっぱ一番好きな「gravity」が収録されているので、このアルバムのレビューにしました。この曲は、LUNA SEAを好きになったきっかけと言っても過言じゃないです。最初にベストを聴いたんですけど、この曲の美しさというか、儚さみたいな、独特の耽美的なサウンドが心に語りかけてきたのを思い出します。ギターソロやベースライン、そしてメロディに、その全てに泣けてきます。INORANの曲で好きなの他にもあるけど、これが、やっぱ一番好きかな。

 

この「gravity」に限らず、このアルバムに言えることは、グルーヴィーさと切なさじゃないかと思ってます。Jの太く力強いベースに、真矢の最強ドラミングなリズム隊の上に、SUGIZOとINORANのツインギターともなれば、完璧でしょう。時に大胆に、緻密に作り上げられたサウンドは、神々しいの域。このアルバムに限らず、アルバム曲も大事にするバンドのこだわりが感じられて良いです。

 

初期と比べ、声変わりwしたRYUICHIのボーカルは、好き嫌いが分かれるところだけど、それぞれの曲に合った歌い方で、個人的には好き。

 

LUNA SEAって、イギリスのブリットポップのバンドに例えると、スウェードのようなポジションだと思っていて。第三の刺客的な。GLAYがオアシスで、ラルクがブラーなら、LUNA SEAはスウェードだろうと。その2バンドに比べるとマイナーだけど、いないと寂しい的な。そんな存在ですね。今となっては、その2バンドよりも個人的に好きです。余談だけど、RYUICHIとスウェードのブレット・アンダーソンって声質が似てるようなw 気のせいか。

 

曲順も考えられていて、ライブの歓声と共に、もろ一曲目のような感じのアップテンポな「Be Awake」で始まり、壮大なバラード「Crazy About You」のフェードアウトで終わる。これがこのアルバムの正しい聴き方でしょう。ちゃんとアルバムという作品になってます。「MOTHER」や「STYLE」といったアルバムに比べると、ちょっと劣るけど、ちゃんと作品になってるかと。曲の完成度は、どれも流石。

 

珍しいところでは、2曲目「Sweetest Coma Again」と4曲目「KISS」には、日本が誇るヒップホップDJのDJ KRUSHが参加していて、スクラッチなど新しい風を感じることが出来るところ。いい感じに合ってますね。

 

前にも書いたけど、それぞれ違う5人の個性が、純度の高い結晶となって生み出されたような傑作です。聴いてると、凄すぎて鳥肌が立ちます。全曲、本当におすすめ。LUNA SEAとかV系ってだけで嫌厭している人で、ロック好きな人にこそ聴いて欲しい作品です。

 

 

 

リリース日 : 2000年7月12日

レーベル : ユニバーサルJ

ジャンル : ロック

国 : 日本