Autobahn

Kraftwerk「Autobahn」

リリース : 1974年
ジャンル : クラウトロック、テクノポップ、サウンドスケープ

レコードA面に収録されている「Autobahn」は、テクノポップの創始者であるクラフトワークが運転する車に乗って、高速道路を疾走する曲です。さぁ君も、助手席に乗って、ドライブへLet's Go!

ん? そんなに服迷わなくていいだろ? ちょっとドライブするだけなんだから。それじゃあ、気を取り直してエンジンをかけて、さぁ出発しよう。今日は晴れてていいなぁ。(←どんなキャラ設定やねん!)

まずアウトバーンに乗り込む。やがて、カーステから聴こえてくるのは、「Wir fahr'n fahr'n auf der autobahn」という歌声。気づけば僕も口ずさんでいて、ちょっと気まずくなる。気分転換に窓を開ければ、風が車内に入ってきて気分は爽快。

途中、天気が変わったり、車やバイクとすれ違いながらも、車の振動に揺られ心も踊ります。そんなにカーチェイスしなくていいよと思いながらも、いつしか眠りに落ちてしまいます。そして、天気も回復して、こんな夢見心地なアウトバーンの22分45秒のドライブもあっという間に過ぎます。

聴き終わった頃には、次はどこに行こうかな?うーん。とりあえずお腹空いたから、マックへGO!(笑)的な気分になります。これらをシンセの音で表現しているのは凄いです。興味を持たれた方は、是非聴いてみてください。

B面は、前作からの流れを汲んだ少々実験的な小品が並びます。「Kometenmelodie (Comet Melody)」は、2部構成で、宇宙にトリップ出来ます。時に静謐に、時にはしゃいだり、彗星の軌道に思いを重ねてしまいます。「Mitternacht (Midnight)」は、真夜中の静寂と不気味さを醸し出しているアンビエントっぽい曲。「Morgenspaziergang (Morning Walk)」は、夜から解放された朝の清々しさにフルートの音色が気持ちいい。

クラフトワークは、シンプルな反復ビートやシーケンスによって、音楽的なクライマックスに向かう高揚感(Aメロ、Bメロ、サビという曲展開)をあえて断ち切りました。そもそも音楽とは和声や和音、曲の展開、演奏技術、歌詞などで他と差別化するという進化論的な考えが一部にはありました。でも、それをあえて捨てるというか常識にとらわれないという逆転の発想でその音楽観を根本から変えたんです。また、この作品は、現代音楽の一部であった電子音楽をポップミュージックと融合させ、一般ピープルに初めて浸透させたという意味でも音楽史上、重要な作品です。テクノの礎をつくったクラフトワークですが、後の「The Mix」というアルバムで、今度はクラブ的な方向からテクノに逆接近したりと、コンセプチュアルで実験的な作品を発表して、テクノの可能性を広げています。