EDENSZERO第264話『オーバーライド』感想 | ルーメン・イストワール

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EDENS ZERO/Mashima HERO'S/FAIRY TAIL/RAVE

エデンズワン入場ゲート。シキの突入を援助したラグナは、満身創痍の中、銀河六魔将ライトニング・ローに見事打ち勝つ!!


前号までのあらすじ…マザーを救うため再び始まった"ユニバース0"での冒険。エデンズゼロ一行は四季大宇宙を巡った後、終着点のマザーを目指し未開の宇宙を航海する。しかし突如、無数のドラゴンを従えるゴッド・アクネラと魔王四黒星たちの襲撃を受け、ついにヴォイド一味と交戦。シキはエデンズワンに突入するが、銀河六魔将ライトニング・ローに不意を突かれ、絶命の危機に。そのピンチをレベッカがキャットリーパーの力で救い、さらにはラグナが敵を討つ!!そして、シキと宿敵ヴォイドとの決戦が近づく…!!


扉絵

扉絵は、お化けのいる洋館を探索してるようなハッピー

こういうシチュエーションだとビビってそうなイメージあったんですが、意外と鈍感というか能天気というか。

EZのハッピーというより、FTのハッピーっぽさを感じました

知能低下してナツと一緒に遊んでそうな雰囲気が漂ってる。


ラグナからシキへ

前回、オーバードライブを発動してライトニング・ローに勝利したラグナ

ラグナ自身も電気と水の我慢比べで十分消耗していたので、ライトニング・ローが倒れてるのを確認した直後ラグナもその場で倒れ込んでしまいます。

どちらも限界ギリギリの勝負だった。

その戦いの果てに勝利したラグナの方も倒れるという描写、王道バトル漫画らしくて好きですねー

他の作品でもよくあるイメージだし、真島作品に限っても何度かやってる演出じゃないかな。

どれだけ死力を尽くして戦ったか分かってグッときます。

勝ったのはラグナだけど、ライトニング・ローも決して弱くない相手だったのだとフォローできる。

倒れたラグナは「後は頼むぜ」と言わんばかりに「片付けといたぜ…シキ」と一言。

この勝負、シキの為の戦いでしたもんね。

シキの怒りを受け継ぎ「人間と機械の共存」というシキの夢が決して幻想じゃないと証明する為のある種意地の張り合いだった。

勝ったからといって、それが実現できるというわけじゃない。

しかし、ここで勝つのはシキを拒むヴォイド一派を否定する為のものだったかと

勝ったからといって何か変わるわけじゃないですが、それでも勝ってシキの背中を押したいラグナの想いを強く感じました。

前回、前々回と続いて計らずも感じられたラグナの特別な想いが良い。

最初は成り行きで入った船だけど、そこに居続けるのはシキを強く信頼してるからこそなのだと思います。

おそらくラグナ最後の戦いに相応しいテーマ性でした。


ヴォイド現る

エデンズワン内、戦闘機(レオ)じゃ進めないところまで奥に来たシキレベッカ

ここからは戦闘機を降りて自分の足で進みます。

ちょうどその時隣の窓から見えた流星。

それはまるで幼いシキがジギーと見たような彗星(ドラゴン)のようでちょっと特別な光景に思えたのですが、その正体はヴォイドというある種真逆の存在


あの時シキが見た彗星は自分としては「冒険の憧れ」の象徴だと思っていて、だからその障害を乗り越える為の技が「重彗星」だと解釈してるんですが、今回出てきた彗星のようなものは、どちらかというとシキの冒険を阻む敵。

シキをマザーに辿り着かせまいとヴォイドは全速力でマザーに向かってるように見えます。

一見あの日見た彗星に似てるのに、その正体が自分の冒険を否定する存在なんて皮肉ですね。

偶然か必然か、似た状況なのに正体が真逆という構図が少し特別なシチュエーションに見える。

ある意味シキの冒険は彗星(ドラゴン)で始まり彗星(ヴォイド)で終わるんでしょうか

シキが初めてヴォイドを視認したわけですが、そのリアクションとして「ぞわっ」と異質なエーテルを感じ取ってる反応が特別。

これまで色んな強敵と戦ってきたシキですが、こんな反応をするのは初めてです。

真島先生の過去作品『FAIRYTAIL』では異質な魔力に悪寒が走るみたいな描写は何度もあったイメージですけど、EDENSZEROでは初なのである種お約束的なチープな感覚ではなく、初めて体感する異次元の存在なのだと実感しました。

EDENSZEROにおいて相手のエーテルを感じ取るみたいな反応が特別ないのはそれだけエーテルというものの存在感が薄いからとも解釈でき、であるならあの距離で感じ取られるヴォイドのエーテルはどれだけ強大なんだろうと考えさせれらます。

ヴォイド、シキ視点での初登場ですが、空を飛んでどこかへ向かってるというのも新感覚ですね。

これまでのエピソードラスボスの中でも変な存在感があり、その感覚が少しクセになってます。

正直自分としてはヴォイドじゃなくジギーが最終的なラスボスが良かったという気持ちもまた消えてないのですが、この描写で少しだけ「ジギーとは違う存在なのかもしれない」と思えました。


オーバーライド

エデンズゼロ爆破阻止ミッション、やっと話に動きがある…!

ここ数話、毎回いや10分が長すぎない…?とツッコミ入れてた自分ですが、ついにその10分が加速しそうで面白くなってきました。

いくら何でも体感時間長すぎるのよ!

折角のタイムリミット設定が台無しになってる気すらしたので、ようやっと肝心の見たい部分が見れそうです(笑)

「無理だって オレのコードは完璧さ」とドヤ顔するキラーに「見つけた!!!」と言ってコードの抜け道を見つけたハーミット

予想はしてましたが、あまりに予定調和過ぎる展開に笑ってしまいましたw

プログラムでハーミットに勝てるやつはいないのよ…!

安定のハッキング解除で頼もしさが半端ない。

シームレス過ぎてキラーの小物感も加速しますが(笑)

「何!!?」と本人驚いてるけど、読者は皆分かってたよ。

魔王四黒星、流石にもう格落ちは否めませんね…。

しかし爆破を止めるには「オーバーライドキー」なるものが必要のようで、それは「四煌星全員の認証」を意味するそうです。

四煌星全員の認証が必要って結構とんでもない。

他でいうとエーテリオンの解放に使われたレベルの事です。


それくらい特別な事態でしか発揮されなかった協力。

それもその筈。

ハーミットがやろうとしているのは「エデンズゼロの停止」なのだから。

「オーバーライドキー?」という言葉を聞いて、シスターが「この船を停止させるつもりか!!?」と反応していました。

船を一時的に停止させる事で爆破プログラムも解除するんでしょうか。

爆破は船の動力を使ってやる事だろうし、一度機能を全停止できたら解除できるのも頷ける。

問題は一時停止がどれだけのデメリットを生むかですが。

再起動すれば良いだけかもしれないですが、それに時間がかかる場合外側から攻撃される可能性だって想定できます。

確かに爆破は解決できそうだけど、その後のトラブルも覚悟しておく必要性がありそう。


戦いは佳境

エデンズゼロ爆発まで残り少ない時間。

「時間がないの 本気でいきます」ウィッチは全力でウィザードを攻撃します。

手に収束し放ったのは261話で発動したダークエーテル

「朧属性」という稀有な性質を持った力です。

やはりこの力、見た事ない表現で演出されていて面白い

禍々しく毒のようなマグマのような黒い模様があるんですが全体的にドス黒いような色ではなく、闇だけど「朧」っぽさを確かに感じます。

261話の感想でも書いた事ですが、漫画的に見た事ない概念や表現が出てくるとワクワクしますね。

「ダークエーテル」とだけ聞くとありふれた概念なのに、そう感じさせない設定が面白い

異質な力が強力さを感じさせます。

巨大な力の塊をぶん投げてるのもウィッチにしては力技で斬新ですし、それだけ本気さが伝わってきます。

ライトニングエーテルやアイスエーテルといった小手先の技術じゃなく、完全に攻撃力特化の技で、ウィッチにもこういうアタッカーっぽい技があるのだなと新たな発見でした(ウィッチは何か一つに秀でているというより全てのパラメーターが均一なオールマイティタイプなイメージ)。

その力を矛で受け止めるウィザード。ウィッチはすかさず接近して攻撃し、至近距離での対峙!!

エーテルを帯びたウィッチの手とウィザードの矛が交差します。

これだけ至近距離で向かい合っての対峙の画はかっこいいですな。

互いに相手を睨んでるのが「因縁」を強調している。

こういう魅力、過去だと楓大戦でシキとジギーの戦闘が始まった時の見開きっぽいでしょうか。


あの時もシキとジギーが互いに頭突きをしていた。

それだけ特別な因縁がある事の象徴であり、この二人においては前世(?)からの繋がりがありそうなので、今では特別な気分で見据える事ができる対峙。

どちらも一歩も引かない、良い意味での互角の力の衝突に熱くなりました。

最近の二万年前の話を読んでるとどうかこの二人が不幸にならない結末になりますように願わずにはいられませんが、それはそれとして対を成す存在としての互角の勝負にはグッときます。


死にゆく星

例の如く、今回もラストは二万年前の話。

今回は突如世界観が変わったかのように荒廃した終末の世界が出てきて、風景が様変わりしています。

壊れた建物に至る所で起きてそうな火事。いなくなったかのように人気が無くなり、世界の状況を報告するニュースの音だけが各地で流れています。

そのニュースでそれぞれ言っている内容はこちら。

「各地で異常気象が見られ…」「地震による地盤沈下で…」「先日の噴火による被害は…」「メルトダウンが発生しました!!!」

それぞれ断片的に途切れていますが、そのワードからこの星がどういう状況におかれているか読み取れます。

各地の異常気象、地震による地盤沈下、噴火…至るところで異常が起きてるという事でしょう。

何か一つの異常ではなく、ここまで同時多発的に起きてるのは、そもそものこの星自体に問題があるからなのかな

これが度々ミオが言っていた「星の悲鳴」

間も無くこの星は終わろうとしている

言葉のニュアンスから想像してた通り、それはやはり「この星の滅亡」でしょう。

もうおそらくこの星に住んでる人々がどうこうできる範疇を超えてるのだと思う。

部分的に対処できるものではなく、星そのものが問題という、補える範囲をとっくに超越したスケール。

ミオはユナの力を借りて何かしようとしていましたが(この時点でもうしてるが上手くいかなかった可能性もあるし)、流石にもう無理でしょう。

星の終末は免れないと思います。

最後にニュースキャスターが言った「この星は…滅びてしまうのでしょうか…みなさん…どうか落ち着いて…最後の時を愛する人たちと」という言葉が趣深い。

何か救いの言葉を言うのではなく、望まない最期を迎えないように…と言う事しかできないのが、滅ぶ世界のリアルを感じます

そこに現れた魔王ジギー

きました。ジギー。

この地で起こるのは魔王四煌星と魔王四黒星が如何にしてジギーのアンドロイドになったかと赤子だったシキとの出会いだと思うので、この地にジギーが訪れるのは必然でした。

ようやく現在と話が繋がり出した気分です


二万年前、崩壊が進む"ある星"。そこに一人、機械の王が佇む……。この世界の運命は──!?

第265話『辿り着いた先には…』へつづく

崩壊が進む"ある星"に来たジギー。マザーに向かうヴォイド。それを追いかけるかたちでシキとレベッカもマザーに到達?

「辿り着いた先」が話の主役であろう次回、マザー=地球説の答え合わせになるんでしょうか

ちょうどジギーも崩壊が進む"ある星(地球)"に来てるので、二万年前と現在で図らずも二人の魔王が地球と対面する事になりそうです