【惑星アース】マザーのいる宇宙=我々のいる現実世界の宇宙説【暗黒時代】 | ルーメン・イストワール

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真島ヒロ先生を応援しています。
EDENS ZERO/Mashima HERO'S/FAIRY TAIL/RAVE

概要


マザーを目指すシキ達の冒険も最終局面。

最新255話ではついにエデンズゼロがマザーがいると思われる宇宙に突入。

ついに正真正銘最後の冒険が幕を開けました。

入った先は「全く情報がない未開の地」

桜宇宙や葵宇宙といったこれまでの宇宙の特徴が何もない新たな世界。

この未知の宇宙について面白い発想が浮かびました。

物語がクライマックスを迎える今だからこそしたい、今しかできない妄想。今回はマザーのいる宇宙について考えてみます。


マザー

まずは「マザー」について簡単におさらい。

  • この宇宙のどこかにいる星より大きな女性
  • 何故、何の為に存在するのか分かっていない謎の生命体
  • 昔、桜宇宙の外に出た冒険者が偶然見つけたという話以外全く情報がない
  • いつしか冒険者たちの間で「宇宙の女神」として崇められるようになる
  • 「マザーにたどり着いた者はもう一度生まれる」という伝承がある
  • 「マザーに叶えられない願いはない」と言われている
  • マザーにあった物品として「遺物」と呼ばれるものが宇宙には無数に存在している
  • 理由は不明だが、現在マザーの命は尽きかけている
簡単に…だけど、こんなところかな。

マザーを目指す旅の過程

マザーを目指す旅の過程としても簡単に振り返ってみよう。
  • 惑星ブルーガーデンで「マザー」の存在を知る。最初はラビリアより凄い動画を作るという目的でマザーを目指す旅を始める。
  • エルシーからエデンズゼロを受け渡してもらい、かつてジギーが言っていた「マザーにたどり着いた者はもう一度生まれる」という伝承を聞く。
  • 葵宇宙で「遺物」の存在を知り、マザーエーテルを辿る旅を始める。レッドケイブ〜マッドロールを経て、その時いた宙域にあるマザーエーテルは大方回収。
  • 葵大戦が終わってから楓大戦が始まる3年間の間も変わらずマザーエーテルは回収し続けていた。
  • レイチェルの口から「マザーの命が尽きかけている」事と「ユニバース0」の存在を知る。
  • エーテリオンを起動し、エデンズゼロでユニバース0に移動。
  • 雪宇宙の惑星ミルツでマザーエーテルを完成させる。
  • 無事惑星ミルツを脱出したシキ達はマザーエーテルを起動し未知の宇宙に来た。
「マザー」関連で絞るとこんな感じかな。
紆余曲折経て、様々な知識を得て冒険を進めてきた。
いよいよクライマックス。この先に何が待ち受けているか。

未開の宇宙

第255話のサブタイトルは『未開の宇宙』
その名の通り、マザーのいる宇宙は「情報がない未開の土地…」とハーミットは驚いている。

ヴァルキリーやウィッチも一様に「ここは…?」「わ…分かりません」と知らない宇宙のようだった。
シスターも「計器がイカれてる!!!」と言っていて、これまでの常識が通じないかのような宇宙。
本来の宇宙船のシステムが正常に機能しないぐらい今までと大きく違う世界である事が察せた
その世界を見たクリーネは「何もない宇宙…?」と感じていたが、隣にいたホムラが「いや…星々はあるゆえ」と厳密な状況を説明。
ワイズが「ただ桜が舞ってたり海があったりしねぇってだけで」と言っていて、四季大宇宙の特徴がないだけの普通の宇宙
気になったのは、ジンの「なのに神秘的だ」という反応。
「神秘的」…「普通の認識や理論を超えて、不思議な感じのするさま」という意味。
つまり「言語化できないけど何かこれまでと違う世界の美しさを感じている」のではないかと感じた。
ここが今回の発想のキッカケとなった。
読者の感覚からすると「普通の宇宙」と言えそうな世界、しかしそれはどこか幻想的で心が惹かれるものがある。

マザーのいる宇宙=現実世界の宇宙説

そこで考えたのがマザーのいる宇宙は、現実世界で我々読者が生きてる宇宙なんじゃないかと。

「何もない宇宙…?」というクリーネのリアクションが引っかかるものだった。
確かに何もないけど「宇宙」というものは本来そういうものであるはず。
桜が舞っていたり海があるのが異常で、あれはEDENSZERO世界特有のものだった。
だからまるで「何もない宇宙」というものが出てくる方が異常だと思わされる1話から印象付けられたミスリード。
そもそもこういう世界が普通だった事を読んでる読者もいつしか忘れている。
ワイズは「ただ桜が舞ってたり海があったりしねぇだけで」と言い、それにジンは「なのに神秘的だ」と感じていた。
何もない普通の宇宙に感じる神秘的さ。
それって現実世界のただの宇宙の存在を肯定するものじゃないだろうか。
確かにEDENSZERO世界の四季大宇宙と比べると特別な現象は起こっていない普通の世界だけど、しかし元より宇宙とはそういう世界で、そんな宇宙だって美しく綺麗なものである。
そんな事を忘れていたけど、とっくの昔に知っている。
そういう読み味に思えた。
何故マザーを目指す冒険の最終局面に来て「普通の宇宙」を描いたのか。
それは「宇宙」を旅する冒険譚として、普遍的な宇宙の尊さを主張したかったからなんじゃないかな。
まるで「物語」が「現実」と繋がった瞬間で、もしこの考えが合っていたらこれまで『EDENSZERO』を読んできた読者だって現実の宇宙に夢を馳せる冒険者になれる。
一気に特別な存在感が生まれると思った。

どういう事か

とは言っても、気になるのはどういう事なのか、もう少し厳密に考えてみたい。
個人的に抱いたイメージは『彼方のアストラ』という漫画と『炎炎ノ消防隊』という漫画作品。
これらの要素が合わさったような世界のどんでん返しになるのではないかと考えた。
まず『彼方のアストラ』は、簡単に説明すると西暦2063年の世界で高校生の主人公達が惑星キャンプ中遭難し故郷の星へ帰還を目指す物語。

話の終盤では、実は主人公達の母性は「地球」じゃないという真実が発覚する。
読者は完全に「地球」から来た地球人だとしか思ってなく、でもよく考えたら言い切られていなかったというどんでん返しを体験できる。
『EDENSZERO』でシキ達が最終的に訪れる世界が「現実の宇宙」というのもそういう空想と現実の繋がり方をするのではないかと感じた。
後者の『炎炎ノ消防隊』は、EDENSZEROと同じ週刊少年マガジンで連載されていた作品。
消防士が焔ビトという発火する怪物を鎮火して戦う物語。

この世界では「大災害」という大事件が過去に起こった事が分かっていて、それが起こる前の世界はイラスト的なビジュアルじゃないリアルな人間が今読者がいる世界を生きていた真実が分かる、現実との繋がり方をした。
空想と現実として切り離されていると思っていたら不意に繋がったパターン。
現実の人間の姿をしたキャラやリアルな東京の風景が出てくるのは、なかなかに強烈なインパクトを残した。

『EDENSZERO』でも写真を貼ったような描写で現実世界の人間が出てくる…?
と考えたけど、それはしないかなぁという印象。
炎炎ノ消防隊とやってる事が被るのもあるけど、何より自分としては真島作品的じゃないと思う。
真島作品はコミカルさが作風でそういったトリッキー過ぎる手法は手を出さないと考える。絵面が強烈過ぎてシュールにすら感じると、そもそも作品のテーマから外れそうだし。
まずもし写真を貼ったかのように表現を切り替えるならエデンズゼロが入った宇宙空間の時点でやってると思った。その方が設定に合っている。
別にそうもしてないし、この世界の地球にいる人間は真島先生の手によって漫画的に描かれると思う。

現実世界の宇宙だとどうなのか

肝心のシキ達はその宇宙で何を感じどういう印象を抱くのか。
大きな特徴は下記の二つかなと考える。
  1. 「エーテルギア」のような力が存在しない
  2. 「機械」は生きていない
当たり前だが、バトル漫画の能力は現実に存在しない。
炎を出したり水を出したり等あり得ない。
そこでは何の力も持たない人々が生きている。
シキ達がエーテルギアの力を使うと驚かれたり何かタネがある手品の類だと思われるんじゃないかな。
加えて現実世界では機械は生きていない。
EDENSZEROの世界でも生きていない道具としての機械もあるが、それしかない世界。
そこでピーノやハッピーがいると「よくできたロボット」だと思われるのかな。
シキ達にとっては「生きた機械がいない」だけで大きなカルチャーショックなんじゃないかな。
これまで機械生命体が当たり前に世界にいるから考えた事がなかったけど、生きた機械がいない世界だってある。
そこはシキにとって今一度機械生命体と向き合うキッカケになるかもしれない
これからヴォイドと戦う最終決戦を前に心境の変化もあるかもしれない。

魔王四煌星と魔王四黒星の前世


魔王四煌星にはまだ明かされていない秘密がある。
いたはずの外宇宙に痕跡がない事、シキが見たかつて魔王四煌星と知り合いだった過去、それは今回ワイズ博士から受け取った「ピーノの失われた記憶」に関係すると思われる。
最新話のラストではその記憶を確認し「ジギー様ぁ…四煌星のみなさんは…そんな…」と涙を流している。
時間をかけて描かれてきた魔王四煌星の秘密。
シキが見た記憶では、四煌星にアンドロイド特有の機械の繋ぎ目のようなものがなく、実は元々人間だったんじゃないかと考えている。
では何故その記憶を失っているのか、四黒星と知り合いだった過去は何か。
以前から少しそういった方向性で想像してた事もあって、話が結びついた。
魔王四煌星と魔王四黒星は元々読者と同じ現実の地球で生きていた普通の人間だったんじゃないかと。
「弁護士」とか「学生」とか「医者」とか出てくる立場はやけに現実的に感じていた。
まるであそこだけ別の世界を切り取ったかのような異物感
もしかするとそれは四煌星と四黒星が別の世界からやってきた事を示していたんじゃないかと。

赤子のシキも地球出身?

もうその世界出身だと考えられそうなのは、シキ
言わずもがなシキはジギーがマザーを目指した旅の道中で発見している。
つまりシキは比較的マザーの近くにいたと考えられる。
実際シキもマザーに既視感を感じたりマザーのエーテルに懐かしさを感じたり、マザーがルーツにあるかのような伏線がいくつも貼られている。
赤子のシキも元々現実の宇宙、地球で生まれた子供だったんじゃないだろうか。
かつてエデンズワンに取り憑かれていたジギーはシキの事を「奴はこの世界に存在してはならぬ者」と表現している。

そうまで言うのは元々シキはこの世界に存在していなかった人物だからじゃないかな。
次元を超えた違う世界で生きていた、生きるはずだった。
ジギーの言い方に自分は世界の異分子、唯一例外のタブーのような印象を抱いた。
そういうイメージとも結びつく。

宇宙の暗黒時代

未だにどういう時代なのか一向に分かっていない「暗黒時代」
エーテルギアが「暗黒時代の力」と呼ばれていて、桜舞星騎士団が桜宇宙を守ったとされる時代とだけ分かっている。
この詳細はどのようなかたちで語られるのか。
実はこの「暗黒時代」という言葉、実際に存在していて、それも「宇宙」に関する言葉。
ビックバンから始まった宇宙の歴史において、水素イオンが電子と再結合して宇宙の晴れ上がりを迎えてから初代の天体が誕生するまでの時代
光を放つ天体が存在せず、その様子から「暗黒時代」と呼ばれている。
これもかなり昔に調べて興味深いな〜と思っていたのだけど、もしシキ達が訪れた世界が現実の宇宙ならより密接に関わるかもしれない。
といっても「暗黒時代」には桜舞星騎士団であったり桜宇宙も関わっていて、これは完全に現実の宇宙にだけ起こった出来事というとちょっと違いそうかな。
ビックバンから始まった宇宙の歴史の最初期に位置する時代なら、もしかしたらその時世界は二つに分かれた…とかかもしれない。
真島先生の過去作『RAVE』の現行世界と並行世界がまさにそういう存在感だけど、物語の中の世界と現実の世界でそれをやるのはより一層特別感がある。

シャオメイ

空想と現実、物語と読者…そういう関係性で無視できないのはこの物語の語り部・シャオメイ
言わずと知れたこの物語をずっと語ってきた存在。
シャオメイは物語の読み手がいて初めて成立する存在でもあった。
そんな奇妙な作品の構造が何を意味するのかずっと気になっていた。
もしかするとシャオメイも現実の宇宙出身者なのでメタ的な視点でシキ達を認識できる?
というより、マザーに接触した事でメタな視点を得たのかな?
マザーに出会う事はそういった超越した認識を得る事なのかもしれない。
それは確かに「もう一度生まれる」と言うぐらい人生を大きく変える変化か。
もしかしたらその世界では漫画『EDENSZERO』というものが出版されているのかもしれない

実際の現実世界の宇宙とはちょっと違いそう

しかし、実際の現実世界の宇宙とはちょっと違いそうだとも思う。
そもそも「マザー」は現実の宇宙に存在しない。
その時点でマザー≠現実の宇宙になって破綻する。
とすると今回の話の前提が崩れるので、もしこの発想で考えるならここで描かれる宇宙は現実世界の宇宙のマルチバースなのだろう。
マザーがどういう存在か分からないし、何ならその世界のアニメで出てくる女性とか何かのシンボルとか実は大したことない存在っていうのもありそうではある。
しかしそんな存在が大いなる力を持ってるのも確かだと思われるので、どこかでファンタジー的な現象は避けられないと思う。
だから現実世界の宇宙のマルチバースという位置付けが1番ちょうど良さそう。
大人の問題で出せない企業名とか少し変えて出せるしね。

特徴的なEZらしい星が描かれていない

そういう文脈で読むと気になってくるのは、突入してきた宇宙が描かれたページ。
そこではデブリが端に少し描かれているくらいで星々は描かれていなかった。
「何もない宇宙…?」というクリーネの発言に「いや…星々はあるゆえ」とホムラが訂正していた事からこの宇宙にも星はあり、シキ達には見えているだろう。
しかしそれが意図的に描写から外されているように思えた
星々があるならそういう宇宙として光景として描くのが普通だと思う。
わざわざそうしない描写を選んだのは、今このタイミングじゃ描けない事情があるからじゃないかと。
それは、この宇宙の星々はEDENSZERO世界の星の外観のようにその星の特徴が強調された見た目になっていないからじゃないかな。

現実の宇宙と同じようなただの丸いだけの星。
元々EDENSZERO世界の星が宇宙空間から見たらああなるのもかなりおかしいけど、あれはファンタジーの世界として成立している。
しかしここはリアルな世界。
その為、星の外観も大きく違う。
次回で一気にこの世界の核心を語るなら、今回の時点じゃ読者に与える情報を制限して真相を予想させない真島先生の意図を感じた。

スペースで言ってた話

もう一つ思い当たった話は、先日真島先生がX(旧Twitter)のスペースでされてた話。
最後に真島先生は自分の作品の宣伝をしていて、そこで「今後エデンズに関しては後半戦に向けて他の作家さんがあんまりやってないような演出を暫くやる」「結構面白い構成が続くのでそこも楽しみにしていてほしい」と言っていた。
まさに物語の最終章で空想の世界から現実の世界に来るのは「他の作家さんがあんまりやってないような演出」「面白い構成」と言えるんじゃないだろうか。
確かに斬新だし、今回の話を読むまで予想だにしなかった展開。
そんな物語が読めたら面白いと思う。

対談で言ってた話

さらにもう一つ思い出したのは、昔真島先生が他の作家先生と対談して言ってた話
連載が1周年も経っていない初期の頃で、もう結構前の話なのだけど、その時真島先生は『EDENSZERO』について「引き続き王道を目指しているけど、そのなかでも新しい事にチャレンジしていきたい」「真島作品としては珍しい『メタな展開』も入れているのでどんな風にまとまるか楽しみにしていてほしい」と言っていた。
この「メタな展開」というもの。
これまでは物語の語り部であるシャオメイの存在、話をメタ認知している彼女の存在や彼女がやろうとしている事について言っているのかと思ったけど、もし現実世界の宇宙が出てくるならそれを指してる可能性はある。
マザーという初期からの最終目標がいる世界。
これだけ連載初期から構想があってもおかしくない。
もしそうだとするならこの時の対談が伝説的になるな…。

以上、マザーのいる宇宙=現実世界の宇宙説について考えてみました。
突拍子もなさすぎる話だとは自分は思ってないです。
一気に世界が変わるような変化だけど、これまで宇宙を旅してきたこの物語にとっては特別なクライマックスになるんじゃないかと思います。
マガポケ最新話のコメント欄では完全に自分と同じ発想をしてる方がいて、まるで同意をもらえたかのように少し暴走気味で書いてしまったところはあるかな(笑)

マザーのいる最後の宇宙、どんな世界になっているのか気になります!!!