第10位

「ドント•ルック•アップ」

NETFLX映画。

主演にレオナルド•ディカプリオ、ジェニファー•ローレンスというオスカー俳優を配し、まわりを固めるメンバーも大物、曲者揃い。

配信作品の顔触れも年々豪華になってきます。

監督も「マネーショート」「バイス」のアダム•マッケイとこちらも曲者感が強い印象。

地球と衝突の恐れがある彗星を発見してしまった冴えない天文学者とその教え子。2人はその事実を大統領はじめ世界に必死に訴えるが…。

というSFブラックコメディ。

あらすじを聞くと突拍子もない話に聞こえますが、実際観てみると意外とありそうだなと思えてくるストーリーで、これを彗星ではなく昨今のコロナに当て嵌めてみると、色々な情報により世間の人々の考え方が分かれていったり、利益を追って色んな事が起こったり…。

結構リアルな話に思えてきて、最終的にこの星に住む一般の人々の運命を決めるのは自分達ではなく、お偉いさん等の一握りの人間である事も提示してくれます。

上がバカなら人は星は滅ぶと言う事を教えてくれるとてもいい映画です。

助かったかもしれない命を目先の利益の為に手放す。

間違いだったと気付いた時にはもう遅い。

なーんとなく世界中のお偉いさん達が幾度となく繰り返してきた蛮行ではないかなぁなんて思わずにはいられません。

そんな事態を随所に毒を仕掛けて呆れて笑うしかない状況に観客を連れていってくれるこの作品。

色んなところで観る事が出来るようになるといいのになぁと思ってしまう一本です。



第9位

「少年の君」

2019年、中国、香港合作の青春ドラマ。

中国の受験戦争、いじめ、ストリートチルドレンといった社会問題をベースに大学進学を控えた女子高生とストリートで生きる不良少年が心を通わせていく様を描く。

まぁ、重い。ひたすら重いです。

ただ美しい。主人公2人を取り巻く色々なものが厳しく辛いものばかりな分、2人の生き方、思いの美しさがより際立ちます。

なかなか普段中国の実情を見る事がないのでこの数々のシビアな状況を知る事が出来たのはいい事だなと思いました。

よく通ったなという感じはありますが国の暗部をベースにストーリーを進めていくというのはやはり興味深い。

この世界にどこまでも真っ直ぐな2人の想い。

まさに純愛。

普段、あまり触れる事のない国の重さ、厳しさ、美しさを是非感じてほしいなと思います。



第8位

「さがす」

「岬の兄妹」の片山慎三監督作品。

すごーく嫌な話です。重いしエグいし、それもそのはず実在の事件を基にしたのではないかと思う場面が数多く見受けられます。鑑賞中、あれって感じで思い出される事がちょくちょくある作品です。

物語は父親が懸賞金がかけられた殺人犯を電車の中で見たと言った翌日に彼が行方不明になり、その父親を娘が探すというところから始まっていきます。

この父娘に殺人犯を加えた3人がストーリーの中心となっていきます。

話の展開もさることながら、出演者が素晴らしく、あまり普段見た事のない佐藤二朗さんを見る事ができます。そして何より娘役の伊東蒼さんが本当に素晴らしくとんでもない印象を残してくれました。

殺人犯役の清水尋也さんの何を考えているのかわからない中にたまに垣間見える人間っぽいところを出してくるところも良かったですし、演者は皆さん完璧な布陣ではないかと思われます。

片山監督も(岬の兄妹は未見)あのポン•ジュノ(パラサイト)の助監督をやっていた事があるというのも納得の全編を覆う空気感。

人間の心の中にある暗い部分というか奥に閉じ込めてある澱んだ部分(誰もが持っているのかは知りませんが自分の中には確実にあります)を物凄く揺さぶられる感じが強く、作品の外見の印象の強さもありながら心の奥を掴んでくるような展開を見せてくれます。

万人に薦められる作品ではありませんが人の闇を垣間見たい方、出会った事がない佐藤二朗さんに会いたい方にはお薦めです。

ラストの父娘の卓球シーンは名シーンだと思います。




重めの作品が続いた10位から8位。

次回は7位から5位の発表です!