朝早くからのペアゴルフ。

相棒のかの女は、東京から大阪に暫く、

仕事の関係で滞在し、あれ以来のご無沙

汰だ。

 

絶好のゴルフ日和だ。

コースに出かけると、雲が蒼い空に浮か

ぶ、なんとも言えない、快い気分になる。

 

 

 

 

ぼくは、かつて東京勤務のとき同じ部署

にいたかの女。

かの女とは新任研修で一緒に出かけ、親

しくなっていき、やがて一方的に好きに

なり求婚したが、今思えば、当時のかの

女はそこどどころでなく、家業を継がね

ばならなく窮地におちいっていた。

その後かの女は、親族が決めた相手と結婚

するが、2年ほどで離婚していた。

 

初めて知り合ったときから15年。

かの女は白のショートパンツにピンクの

上着でのラウンドだった。

10年前になる。

東京駅前の丸ビルで勤めていたぼくは、

精神疾患になり、入院・退院を繰り返す

中、大阪にゆきアパートで定職につかず、

ひとり引き籠りがつづいていた。

この頃。ぼくは、薬によるのか、医師の

診断書によると「インポテンツ」と記さ

れていた。

 

 

 

 

コースには池の18番ホールがあった。

人の縁は不思議だ。アパートの近くの公

園の池で鳥が泳いでいるのを眺めていた。

このとき、幼い子がぼくに近寄ってき、

母親が「おじゃましてはいけないよ」と

いう。聞き憶えのあるかの女の声だった。

 

あれから15年。

この間にぼくはかわっていた。

担当女医のおかげである。

病院の許可を得て、外出ができる療養

中の身で性依存症となっていた。

 

世の中、何が起こるかわからない。

日差しをうけ、ゴルフ着から透き通って

みえるかの女と早朝のペアラウンド。

こんなことがあるのかと思ったが、かの

女は、何と担当医の異母妹になる。とい

う。それに加え、かの女の子どもを女医

が、「あなたに似ていない?」とまでい

う。

 

 

 

 

Enjoy Golf(インポテンツ)

ゴルフは、ボールが18番ホールのカップ

に入るまで、油断できない。何が起こる

かわからないのがゴルフだ。

 

ゴルフはメンタルで、心とからだが一体

だ。そのために迷いだすときりがなく、

あとにひきづり、これがやまないと、パ

ターでカップインすらできなく、インポ

テンツになる。

 

艶女医はよくいう。不安から何も生み出

さない、薬に頼ってはいけない、‟でき

る”と信じなさいと。

 

季節のかわりめにあるのか、気が変にな

り、妙に肌の温もりが欲しく、ベッドか

ら立ちあがれずに、ずっと夢の世界でし

たっていることが多くなっている。

 

 

 

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