信太の森の池上曽根史跡公園。
公園は和泉市・泉大津市に広がり、弥生
時代に大環濠集落があった地である。
信太の森の「山の谷」から、池上曽根史
跡公園にゆく。
池上曽根史跡公園（大阪府和泉市池上町、泉大津市曽根町、ほか）
池上曽根史跡公園
遺跡の総面積は60万㎡、その中心部約11
万㎡が国史跡に指定され、2001年5月に
開園される。
公園には北の曽根神社手前に紀元50年頃
の復元された大きな建物がある。
大型の掘立柱建物は、集落の中心となる
シンボルの建物で、前には掘り抜きの大
きな井戸がある。
弥生時代繁栄のときの大型掘立柱建物（床高4ｍ、全高11ｍ、屋根面積400㎡）
最盛期の集落（約2000年前）
弥生時代の遺跡だが、ときが前期、中期、
後期と移りかわり、出土の建物跡、陶器
などで集落の違いがみられる。
当初（前期）この集落の規模がちいさか
ったが、掘立柱も再建されながら中期後
半に最盛期を迎え、集落は、大規模とな
り掘立柱は大型化する。この頃、今から
約500年前が集落の最盛期であった。
社会の変化（廃絶）
和泉では弥生時代後期に大きな変化が
起こり、掘立柱は再建されることなく、
集落はやがて小規模な居住域と井戸が
確認されるだけになる。
ただ、この時期の井戸から出土した壺
には、中国の想像上の生きものの龍が
描かれていることに見逃せない。
池上曽根遺跡（池上曽根遺跡と惣ヶ池遺跡）
とろで、池上曽根に数百人はいたという
人々はその後どこにいったのだろうか。
この時期に、池上曽根遺跡から遠くない
信太山丘陵の惣ヶ池遺跡などに住居跡や
土器、鉄器などが発掘されている。
惣ヶ池遺跡
惣ヶ池遺跡には戦争遺構の、深さ約1ｍ
、幅約6の塹壕（ざんごう）遺構があり、
薬莢（やっきょ）などが出土している。
また竪穴住居の内直径が約10ｍある大
型の円形の住居で、中央炉付近に炭や
焼土が集中し、これを取り囲むように
方形の溝が掘られている。
このような住居跡は大阪府内ではじめて
で、出土物には叩石・砥石などがあり、
鉄器を作っていた可能性があるそうだ。
弥生時代の謎ー高地集落（社会の変化）
約2000年前社会に大きな変化が起こっ
たと考えられている。社会の緊張が増し、
戦いが激しくなり、防御に適した場所（
山上）に集落が移動したのではとこれま
で考えられてきたが、その証拠が考古学
的にいまだ確認されていない。
推論であるが、最近では、気候の変動で
降水量が増えたために、洪水の危険性が
少ない高台に集落が移動したなどという
考え方もあり、いろいろな要因がかさね
あわさっているる場合もあり、これも弥
生時代の謎である。
＜高地集落（惣ヶ池遺跡の謎＞
惣ヶ池遺跡の発掘調査場所
惣ヶ池遺跡の場所に立ち、不思議に思った。
□500ｍもつづく森の木はなんという名
の木だろう。
□ひとは山ノ谷から低地（平野部）にお
りてきたのでは（？）
□惣ヶ池遺跡は池上曽根遺跡と関係がある
のか。
池上曽根史跡公園と道を挟み、大阪府立弥
生博物館があり、ここで学芸員の方に尋ね
てみた。
森の木の名はわからないが、惣ヶ池遺跡の
発掘調査したとき当時調査した先輩の話に
よると、自衛隊の演習場ができるときに、
人から見えないように目隠しのために木が、
植えられたそうだ。
時代によって丘陵の景色は映りゆく。その
時代にあわせ、頭を真白にして見るという
のは難しいなあと思った。
□山の谷から低地については、むしろ逆で、
低地から山上で、これもホントのところわか
らないそうだ。
ある頃から廃絶、環濠が埋没する集落（大型掘立柱建物）
信太の森の謎
約2000年前に繫栄した集落のシンボル
の建物は再建されることなく、廃絶、環
濠は埋没し、弥生時代の終末期から古墳
時代にはいってゆく。
ちなみに、池上曽根遺跡が見つかったの
は明治36（1903）年。
発見者は、当時中学生だった南繁則（18
88－1969）くん。少年は自宅の壁土に
めり込んでいる矢じりを見、この矢じり
が混ざる土はどこからとってきたかと、
壁土の場所をさがしもとめ歩き、探し当
てた。
その場所は現在の遺跡のところで、ここ
から鏃（やじり）はじめ、土器がたくさ
ん出土し、弥生時代に大きな集落があっ
たところとわかる。
謎とされることにはロマンがありますね。
（和泉市）
2021.11.18