悲しみはいつきえる

  ゆうこ10

お兄ちゃんとの別れ

侑子は高知医大のベッド、正月も開け8日ごろだったか、額人と病院に侑子に会いに行ったとき。

病室に入ってすぐ、お兄ちゃんこっちへ来て、と言って。

お兄ちゃんを侑子のベッドに呼んで、ここに座ってと自分が腰を掛けて坐っているベッドの横に座らせ額人が少し間をおいて坐るとこっちに寄ってとぴったりとひっついて坐らせる。

 

        10-1お兄ちゃんとの別れ

額人は少し照れ気味だったが。

それから少し何やら額人とお話をしながら、しっかりと額人の左手を侑子の両手で握りまた右をにぎり繰り返す。

額人に寄り添ってお兄ちゃんの肩に自分の頭とか顔を載たり、軽くこすり付けるようなしぐさ、何回も何回も頬を載せる行為を繰り返し、繰り返ししている。

そして、両手で額人の胴に手を回し抱きついたり、腕を組んだりでまるで恋人と、する様なしぐさを何回も何回も時間をかけて、額人を愛しんでいる姿が有った。

体に触れたりしている姿は、まるで恋人だった、それも長いこと額人を放さずに額人は照れながらもその行為を受け入れていた。

私にはお兄ちゃんの温もりを自分の心の中、体の中に刻み込んでいくかのように最後のお別れをしているようにも思えた、それから3日後の1989年平成元年1月の11日侑子は、亡くなったが。