退院して

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 隣のベットルームで妻の起きる気配がした。
 外は、未だくらい早朝である。

 トイレに起きたのであろう。
 退院直後の監視体制に入っていることを悟られないようにトイレから返った時に声をかける。

 妻が「何時ですか」と聞く。
 「4時半ですよ」と答えると「一寝入りします」と言って横臥になった。

 退院後も食べ物の味がしないと訴える。
 娘の仕事関係に医療関係の方がいるので相談すると水分の補給に問題があるのではないかと助言された。

 その通りである。もともと水分補給の苦手の人でお茶を飲まない人であった。

 心して水分補強につとまなくてはならないと決意する。
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自宅は、最高!

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 病室では、正岡子規的心境になって詠めもしない俳句等に挑戦したりした。

 自宅に帰った途端、頭蓋骨内は空洞化して思考が停止してしまった。

 三日間掃除もせず、取り散らかっしている自宅が気にならないのである。

 それほど自宅は、有り難かった。
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狭い病室の中で

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 三日間足らずの病室生活であった。

 亡骸で退院される方、完治して退院される方、完治しないまま退院される方、他の病院に転院される方、見舞客の多い患者、ない患者,些細なことでクレームを付ける患者、ただただジーと耐えている患者、さらに病気との戦い、自身との葛藤、生きることへの執着、あきらめ等種々雑多の営みがあった。

 狭い病室ではあったが、このような過酷な社会があるだろうか? いや この社会以上の残酷な社会はないだろうと思った。

 社会の縮図を垣間見て身を正して生きることが、如何なるものであるかを改めて追い求めてみたいと思った。

病室の窓

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 病室の窓の近くに大木のユーカリの樹が見える。
 その先に病棟が見える。
 外とのつながりは、この窓の景色だけである。
 狭い範囲ではあるが、空想等して気分を紛らす。

 完全看護病棟であるが、妻は数十年ぶりの入院である。
 不安であろうと付き添っている。
 案の定入院した翌日には、退院することだけを訴える。

 妻の希望が叶ったのか、今日最終チェックで異常がなければ退院出来るとなって妻は喜んでいる。
 私としては、この際と思っていたのだが、病人の希望の方が優先するらしい。

 しかし入院患者の付き添いとは、こんなにも大変なものだったのかと実感して驚く。