多治見から中央線をたどり、中津川駅でバスに乗り換えて中山道をたどった。峠の宿場町である馬籠宿は石畳の坂道に古い建物が連なっており、旅籠だった町屋などを改装した商店や飲食店が連なっている。文学者の島崎藤村の出身地でもあり、沿道には詩碑や作品の一節を記した行燈も見られ、雰囲気を出している。

坂の下の枡形から入り坂の家や但馬屋、中程の藤村記念館と脇本陣資料館を経て坂の上の高札場までの一本道で、基本に則った歩き方をするほかない中で2つほど発見が。清水屋は馬籠宿役人の原家ゆかりの建物で、島崎家と親交が深く藤村直筆の書簡や資料が多数展示されている。『夜明け前』の原稿もあり氏の達筆な直筆も。撮影も発信もOKで、藤村記念館はNGだったのでありがたかった。

坂の上は高札場のさらに先に展望広場が設けられていて、藤村の歌碑が建つところから馬籠宿の坂道と谷の方、折り重なる山々が一望。正面には恵那山が鎮座していて、紅葉が始まった山裾も見下ろせた。広場からはさらに、馬籠峠を越えて妻籠宿まで中山道が続いている。