10年以上ぶりに輪島に来て驚いたのが、観光客の9割7分があの400メートルの朝市訪問だけで完結していること。海側に朝市へ一本道直結の大駐車場とバスターミナルが整備され、なおのことその傾向が強まった気がする。なので9〜11時ごろは朝市は超密なのに、わずかに外れただけで人っ子ひとりいないという凄さ。

しかも朝市は12時で終わると観光客や露店が完全撤収するのはもちろん、沿道の商店もみな店じまいしてしまうのもすごい。11時半ごろに沿道の食堂へ入ってゆっくり昼飯を食べ、1時間ほどで通りに出たら誰もいないシャッター街になっており、さっきと本当に同じ場所なのか眼を疑ったほどだ。

朝市も10年前の印象では、通年どこかしらのカニを売っていたり、色々なものが入った色が派手目の珍味を並べていたり、行ってきました的な菓子を扱っていたりしたのだが、今回は地魚の一夜干しとか自家製でラベルなしの珍味とかが多く、来週解禁のカニは一切なし。なので、よい意味で店先が映えない色味になっていた。カニとか蒸し鮑とか、高値の品を優先に推しつけの度が過ぎていた売り込みもやや引き、旅の思い出レベルの強さにチューニングされているのもよし。SNSやYoutube対応がこなれているのは、今風だがかえって助かるかも。

市街には塗師や漁師の木造の町家がびっしり連なり、30分ほどブラブラするだけで海の景勝にも出会える。とてもさんぽ向きの街で、訪問時は朝市弾丸ではなくぜひ半日はかけてみては。