
入船山記念館から呉港方面へ降る坂道は、赤レンガの舗道に松などの並木が配され、こちらも気持ちよく歩ける。呉市立美術館があるので「美術館通り」とも呼ばれ、沿道には野外彫刻も配されている。隣の建物はかつて自衛隊音楽隊のあった、海自呉地方総監部援護業務課の建物。今は使われておらず、壁面にクラシック演奏のシルエットなど、アートがあしらわれている。また「この世界の…」をモチーフにしたアートもあり、呉海軍下士官兵集会所の宴会予定に北条・浦野家が入っていたり、すずさんが迷子にならないように周囲の案内を掲示したりと、遊び心が満載だ。
ここは作品では、近隣にあった設定の周作さんの務めである呉鎮守府軍法会議への守衛所があるところ。入り口は白塗り?のすずさんが帳面を届けるシーンのモチーフである。この建物、取り壊しの予定らしいが、優美な曲線のフォルム、広々したバルコニー、音符をかたどった芝生など、軍施設ながらの造作の遊びが多用されていて、もったいない。現在は呉市の保有で、作品のキャラが一人ずつ描かれたり、すずさんとリンの大きな絵が掲示されていたりと、結構な聖地感にあふれている。
元・海自呉地方総監部援護業務課を後に、国道487号を海上自衛隊呉教育隊の敷地を回り込んで歩く。柵の間からはグラウンドや蒲鉾型の建屋、正面玄関の奥には砲弾のモニュメントなどもチラリと見える。この先は、高台には海上自衛隊呉地方総監部の、赤レンガの建物も望める。呉港方面へさらに敷地に沿って進むと、呉教育隊の施設内にも赤レンガの建物が覗ける。宝橋からは、海側にジャパンマリンユナイテッドの造船所のクレーン群、右手の上流にそびえる灰ヶ峰が望める。
あとは呉港付近の、二大展示施設も観覧しましょう。