
道後公園は中世伊予の守護河野氏の居城として、14世紀前半から16世紀後半にかけての250年間存続した湯築城の城跡。直径約350mの円形の中央部は、30m程度の高さの丘陵地で、堀や土塁など城の縄張りが当時の姿のまま残る。まずは中央部の展望台へ向かう。登りかけてすぐのところには、明治27年まで道後温泉本館で使われていた、石の湯釜が。奈良時代製で、宝珠には一遍上人が刻んだとされる「南無阿弥陀仏」の文字が見られる。
丘陵部を取り巻く内堀を見下ろしながら登り、江戸期に「杉の檀」と呼ばれた丘陵上部の広場、さらに高い標高71.4mの「本壇」には展望台が設けられている。直下の本檀も杉の檀の配置、縄張りを囲む内堀と外堀、それらに沿った土塁など、まずはこの城の構造がここから把握できる。城郭の北側へ降り、かつての構造が復元されたエリアへ。外濠に面した土塁と、内堀と外濠が近い箇所には大手や武家屋敷を守護する遮蔽用の土類も設けられていた。排水溝も整備されるなど、守りの要衝だったことが伺える。
宴会で使った器を処理した土坑、排水路や建屋の配置を表した一角は、外濠の一部に登り俯瞰することができる。外敵を防御するための外濠土塁は、外堀を掘って出た土を盛った堅牢なもの。またこのあたりは上級武士の居住区で、屋敷地には庭園と池が設けられた遺構もある。先の家臣団の居住区には武家屋敷の小屋が復元され、垣から入ると土壁に板屋根の屋敷が見られる。
復元エリアからいこいの広場へ出て、庭園を眺めながら先へ行くとちょうど一周。すぐ先に道後温泉電停があり、道後温泉から大街道へと移動しましょう。