
アスパムからベイブリッジをくぐりのびる「アスパム通り」へ。沿道には低い建屋の、昔ながらの市街が見られます。シェルのような形をしたオブジェは、日本一おいしい水のモニュメント。厚生省の研究会で、おいしい水道水と評価された記念です。青森市の水道水は,ブナやコナラ、ミズナラなどの樹木が多数自生する、八甲田の雪解けや地下水が流れ込む横内川を水源としています。
モニュメントの通りの先は、神社の裏参道になっています。拝殿の裏側から正面へ。池の端を進みます。善知鳥神社は、天照大御神の御子の三女神(宗像三女神)を祀る神社。古く善知鳥村と称した当地を平定した、善知鳥中納言安方に所以する社です。氏の開拓による発展から青森市へと至ったといわれ、青森発祥の地とされてます。七五三や入学祭など年間行事も多く、地元では折々での参拝が欠かせない社です。
現在の神社は807年に、坂上田村麻呂が再建したもの。多岐津姫命、市杵嶋姫命、多紀理姫命の宗像三女神が主祭神です。海の神、航海の神として漁師や海運関係者の信仰も篤く、その神様が境内裏手の龍神之水。付近に広がっていた干潟・善知鳥沼には龍が棲み、舟が安全に航行できたことが、信仰の源となりました。
善知鳥神社の参道を後に、柳町通り方面へ。棟方志功出生の地は現在の安方2丁目。刃物鍛治師の三男として生まれ、帝展入選を目指し21歳で上京するまで青森で暮らしました。並木が続き歩道が広い柳町通りを歩き、本町一丁目で左へと折れると寺町四か寺。本町の西から1〜4番の順に並ぶ寺院で、1626(寛永3)年に津軽藩がこの地に青森湊を整備した際、寺院がなかったので、浄土宗正覚寺を建立。追って浄土真宗寺・曹洞宗常光寺・日蓮宗蓮華寺が移転してきて、4ヶ寺の寺町になりました。
常光寺は曹洞宗で、寺町四か寺の一番寺。山門をくぐり、仁王門を抜けた先が本堂。本尊は釈迦牟尼仏で棟方志功の菩提寺でもあります。常光寺の山門の左手には、太宰治学生時代の下宿地跡が。青森中学時代の下宿で、叔母きゑの後夫の実家である呉服店でした。太宰は体を鍛えるため、常光寺の境内を走っていたとか。