再び大手門跡を経て広小路通りへ。ハスの群生を見て中土橋通りの西側・通称「穴門の堀」沿いを歩きます。旭川までが城下の「内町」。渡ると町人町の「外町」へ入ります。渡った先、「川端角のレトロ博物館」は、昭和の雑貨やアンティークを展示。不要品の再活用がコンセプト。ねぶり流し館は竿燈の起源「ねぶり流し」にちなんだ名の伝承館。竿燈祭りは280本の竿燈と1万個の提灯が、差し手に華やかに繰られる祭り。起源の「ねぶり流し」は、五穀豊穣への祈りと禊ぎのための行事でした。竿燈は稲穂、提灯は米俵に見立てているとか。

ホールには本物の竿燈が展示され、映像やジオラマなどで祭りが体感できます。参加は城下町の38の町内が中心で、竿頭に「町紋」を描いた提灯が吊られます。竿燈はサイズ別に4種類。「小若」は15㎏ほどで小学校の中〜高学年向け。30㎏の「中若」は中学生向け。一般用の「大若」は重さ50㎏、高さは9mほど。46個の提灯がついています。体験で持ってみることができる「幼若」は重さ5㎏、幼稚園〜小学校低学年向け。

継竹を足し、体の各部で竿燈を支えるのも祭りの華で、利き手で差し上げる「流し」、掌にのせてかざす「平手」の基本技に、「腰」「肩」「首」の派手な職人技。一通り習得するまでには、3〜5年かかるとも。2階は秋田万歳、黒川と山谷の番楽、羽川剣ばやしに、新屋鹿島祭で流す鹿島舟。竿頭のほかにも市民芸能が豊富です。

隣接の旧金子家住宅は、昭和50年まで営業していた、江戸後期の商家。創業時は質屋・古着商、明治初期に呉服・太物卸も扱っていました。昭和初期の店の間では、注文に応じて土蔵から品出し。入口から「通り土間」を抜けた先には、屋内の土蔵「住宅蔵」。黒い漆喰で重厚なつくりです。明治19年の大火に耐えて残った蔵で、火災の際は中から泥と水で目張りをして、防火できる仕組みに。秋田にあった典型的な商家の形を残す、貴重な建物です。