駅前の芝生広場の舗道を抜けて中央通りへ。案内に従い、秋田市民市場へ歩きます。通りから路地を見渡すと、雪国の酒場街らしい風情も。買物広場バスターミナルから仲小路に面した「アゴラ広場」へ。百貨店の壁面の絵やショーウィンドウのオブジェが、竿頭まつりをモチーフにしています。仲小路は、ぽぽろーどから続くアーケード。秋田ではサッカー・バスケ・ラグビーのご当地チームが活躍していて、アーケードに応援幕も見られます。

アーケードを抜けたところから、秋田市民市場はすぐ。秋田市民の台所的な存在の市民市場で、プロの料理人から近所の主婦まで、様々な客が利用する市場です。鮮魚、塩干、佃煮、精肉、野菜、果物から、生花、茶、酒、衣料品、日用生活雑貨など、ありとあらゆるものが揃っています。通路別に扱う品が分かれ、色別の案内が天井から掲げられ親切。売り声は激しくなく、たまに「買ってげれ」とかかるぐらいで素朴です。

まずは水産・塩干を扱う通りで、地魚を拝見に。市場の東寄り。秋田近海の魚介も多く見られます。サケを丸一本で扱う店では、北洋の紅ザケ中心。魚卵はタラコ、イクラ、筋子、マス子、明太子など、地物の鮮魚はテリ(ウスメバル)、アラ、ソコガレイ、ゴリなどが並びます。

男鹿水揚げの魚介の中でも、地物の鮮魚のハタハタは12月頃から。秋田の地物のハタハタの漁期は、11月末~12月中旬にかけての短い期間で、産卵で男鹿半島の沿岸に集まってくるのを狙って、建網漁で漁獲します。市場の店頭には12月中旬ごろから、この「季節ハタハタ」が並びます。他の時期は北陸や山陰で水揚げの鮮魚ほか、塩と麹と蒸し米を3対5対8で寒仕込みしてハタハタを漬け込む「三五八漬け」も名物です。大振りのマダラの横には白子のみも販売。ダダミと呼ばれ、鍋が名物です。

続いて市場の西寄りの、青果を扱う通りへ。秋田や周辺でとれた旬の野菜や果物を、直送で販売してます。特に山菜やキノコの品揃えが充実、名称も独特。山菜は知られたところでは行者ニンニク、タラノメ、コゴミ、水フキ、トンブリなどが。塩蔵して食べるニョウサク、ぬめりのある葉のヒコヒコなど、名前の由来も気になるものも。傘が網状のアミコタケに、地元で普段使いのサワモタシなど。由利、白神、比内、本荘など、県内の地名が見られます。