市街を東西に流れる女鳥羽川を千歳橋を渡ると、橋のたもとには松本市の道路の起点である元標が。あたりは松本城の大手門前にあたり、桝形が設けられてました。大名街通り沿いには、松本城主だった大名の家紋の行燈が並び、界隈はかつての三ノ丸にあたります。ビルの谷間の「松本城」風の店舗は、もと古書店の青翰堂。向かいあたりの大名小路井戸は、五角形風のモダンなデザインです。

大名町通りの突き当たりが松本城公園の入口で、外堀の堀端を過ぎ二ノ丸へと入ります。もとは戦国期に小笠原氏が構えた深志城が起源の松本城。現存最古の天守は1593~4(文禄2~3)年築です。鉄門の左手には、漆黒の天守がチラリ。本丸への鉄門から先は有料で、天守へ登ることができますが、内堀沿いに、天守を外から巡ってみましょう。天守は5層6階建てで、壁面が漆で黒く塗られているのは全国の天守で唯一。天守の右手には、辰巳附櫓と月見櫓が控えます。堀沿いに、天守の反対側へ回り込み、左手には渡櫓で小天守が繋がった、複合連立天守です。

赤い橋は、非常時に埋める「埋門」へかかる埋橋。堀端のベンチは正面の埋橋越しに、天守の眺めを独占できるスポットです。北西側の外堀を渡り二ノ丸から外へ、睡蓮の水面越しの天守は、穴場的な城郭風景です。外堀沿いの道付近は三ノ丸の北側で、葵馬場がありました。通りの上に神木がそびえる松本神社は郷土発展の神様、暘谷(ようこく)大神社が前身の社。郷土の偉人を祀った五つの神社を合祀、地元では通称「五社」と呼ばれます。広い境内から門越しに、天守の姿も。松本神社前の井戸。城郭に臨む湧水です。