
アーケードを抜けたら線路の方向へ、花畑踏切を渡り徳島中央公園へと入ります。徳島藩蜂須賀氏の居城・徳島城の跡に造られた公園で、開園は明治39年。日比谷公園など多くの公園を手掛けた、本多静六と本郷高徳の設計により、江戸期の城郭の名残にバラ園や流れ池といった現代公園の意匠も取り入れています。
公園は徳島駅に隣接しており、線路が多数錯綜する構内を一望。列車の発着も見られます。車両基地の徳島運転所や徳島保線区も置かれており、さまざまな線路標識が見られたり、色々な形式の留置車両や乗務員の姿も。蒸気機関車の時代に活躍した大正4年製の転車台も、鉄道好きには嬉しい風景です。
案内に従って城郭へと進むと徳島城の麓へと入ります。駅や線路はかつて、城の南を流れる寺島川。吉野川の緑泥片岩「阿波青石」の、緑がかった石垣に沿い、メタセコイアの並木の間を進んだ先の竜王さんのクスは樹齢600年、室戸台風で倒れた姿のままです。
徳島県内鉄道地図と年表を記した、トンネルを模したオブジェから線路をたどった先には、8620形式のSLが静態保存されます。徳島駅の駅名標がある、駅を模した建物も添えられ、出発を待っているかのようなたたずまい。大正12年から、昭和45年まで現役だった機関車で、晩年は徳島を走行していました。