砂丘の馬の背に向けて、まずは斜面を下り、オアシスの水辺を目指す。靴は砂だらけになるので裸足になると、砂の谷底に引き込まれるように足が進む。砂は粒が細かく締まって、なかなか歩きやすい。ゆるい斜面は意外と長く、途中には風による砂が波打つような紋様「風紋」も見られた。馬の背付近にできやすく、風速5m~7mの風があり、砂が乾燥している、砂が固まっていない、砂の粒が一定の大きさなどの条件で描かれるという。午後のため踏み跡が残っており、無垢のを見たいなら早朝がオススメだ。

遠くに見えていた水辺が次第に近づき、馬の背の直下に池と緑が広がる様は、まさにオアシス。透水性がよい砂丘には、雨が降っても水はたまらないのだが、馬の背の下のオアシスは地下水の湧出といわれる。雨が多いと深さ1メートルほどになり、少ないと枯れることも。水がきれいに澄んでおり、馬の背の丘を逆さに映している。

馬の背は第2砂丘列にあたる、高さ50メートル弱ほどの砂の丘。オアシスから見上げると直登のようにはだかり、なかなか手強そうだ。斜面は砂がサラサラに柔らかくなり、足をかなりとられる。最大傾斜が32度と、まさに急上昇。半ばまで登ると、オアシスの池がかなり小さくなって見えた。最後のひと登りで、日本海の海岸線のパノラマがぐんと広がる様は、結構な感動もの。歩き出した起点から、浦富海岸方面の起伏ある海岸線、正面は水平線まで見下ろせ、西方向は曲線が美しい砂浜。さらに馬の背の丘を超え、眼下のオアシスの緑まで。変化に富んだ壮大な自然景観を、まさに独り占めである。

帰りは馬の背の急斜面を、まるで落ちていくように駆け下りる。足が埋もれるので走った方がうまく進むようだ。降り切ってからの上りは緩いが長くきつく、何だか行きより長いような気も。スタート地点に着いたら、靴は履かず裸足のまま木製階段を降りると、足洗い場の看板があるのが嬉しいら、ビジターセンター前の温水シャワーで、砂を落とせるありがたい施設だ。

もう少し、あたりを歩いてみましょうか。