
かつて米沢牛縛りの街歩きで訪れた、地元でも評判のラーメン店。5日間熟成させた手もみの細い縮れ麺と、井戸水からつくった深みのある醤油スープがベース。塩コショウで味付けした牛肉をたっぷりのせた牛肉ラーメンほか、麺が見えなくなるほど自家製のワンタンが入ったワンタン麺が人気を呼んでいる。大衆食堂風の構えの入口から中に入ると、厨房は老夫婦と若い店員の3人でまわしているのも変わらず。ひっきりなしの注文に、おおわらわといった感じである。
カウンター上のメニューには「牛肉ラーメン」ほか冷やしラーメン、冷やし中華などがならび、ワンタン麺と迷いつつ牛肉ラーメンを注文する。醤油スープのラーメンの上に、具はシメジ、ネギに牛薄切り肉がたっぷり。肉はさすがに柔らかく、脂少なめな分醤油味と合い、旨みたっぷりでうまい。スープは口の中で旨みがふわりと広がり、香りと後味がずっと舌に残り後を引く。麺は素麺がちぢれたような極細で、ほくほくと柔らかくスープのからみもバツグン。
麺と肉を一緒に食べ、スープをひとくち頂くと後味の良さに麺と肉、の繰り返し。ネギとシメジも醤油味が染み、どこか山形名物の芋煮鍋のようにも思える。水がいい、湧水がいいからと、店のおばちゃん。米沢、とは銘打たぬ肉の味の良さも、肉との相性のいい醤油の味のおかげだろうか。