大町通りは大町四ツ角を過ぎると、野口英世青春通りとの愛称がつく。街灯には野口英世のレリーフが飾られ、煉瓦造りの会陽医院「野口英世青春館」を中心とした広場もある。歩道の煉瓦舗装もきれいになり、白壁や木造の店舗も増加。大善屋呉服店には、会津初のショーウィンドウにかけられた日除けの復元なんてものもあり、ほかにも火の見櫓跡とか史跡も多く商業の中心地だったことがうかがえる。

福西本店は野口英世青春通りに立つ、重厚な黒漆喰の蔵を利用したみやげ物屋。会津木綿、会津塗、郷土玩具など会津若松の民芸品や工芸品のほか、会津地方の物産などを幅広く揃えている。もとは木綿問屋で、会津木綿は天正年間に蒲生氏郷が綿花栽培を奨励したことがルーツ。保科正之のころに、武士の才女の内職に木綿織りを奨励したため、広がった由縁がある。奥はかつての商家を有料で公開しており、奉公人など50人が暮らしていた広い屋敷を見ることもできる。

広い上がり座敷にずらりと品が並び、靴を脱いで座敷に上がって物色することに。かつては郷土玩具を中心に扱っていて、起きあがり小法師が人気だった。400年前から伝わる会津伝統の人形で、七転び八起きの精神から忍耐を表す。家族や財産が増えるよう家族より1つ多く買うのが習わしとされ、正月に子孫繁栄、家内安全を祈願して神棚に飾るものだそうだ。

今は品揃えが変わり、デザインが優れていたり普段使いに向いたものも見られる。起き上がり小法師は、なんと三角コーンにデザイン。地元のグラフィックデザイナーによるもので、福島ベストデザインコンペティションのプロダクトデザイン部門でシルバーを受賞したとあった。店では現物のほか、机に置けるミニチュアがみやげに人気という。

選んだのは、起き上がり小法師と赤べこ、会津だるまがデザインされた、ぷち缶。こちらも明治創業の地元の印刷屋によるもので、ピルケースや裁縫用具、ペットのおやつなどを入れるのに人気だそうだ。赤が厄除けの色とのことで、赤べこと小法師の赤い缶をセレクトした。

通りの南のはずれでは、「小澤ろうそく店」にも立ち寄り。もとは漆芸用の漆の副産物としてとれる木ろうを材料に、和ろうそく作りが盛んになり、花が描かれるようになったのはおよそ400年ほど前から。将軍への献上品となって、高級ろうそくとして広まった。一本ずつ手書きの会津絵ろうそくは、花の色が実に鮮やか。こちらでは絵付けの体験もできるという。

では中央通りを渡り、城を目指していきましょう。