十輪院の前の通りをまっすぐ西へ、古書の酒仙堂が建つ互い違いの辻も直進していくと、御霊神社の赤い大鳥居が目に入ってくる。平安初期に桓武天皇の命で創建、非業の死を遂げた歴史上の人物を祀ることから、祟りを抑える神社のイメージが強いが、近年は境内社の出世稲荷神社が縁結びのパワースポットとして人気を博している。色鮮やかな扁額が掲げられた鳥居をくぐると、境内はこぢんまりしており、妻部に金箔があしらわれた拝殿がきらびやかである。

参拝後に左手の扉から抜けると、右手には竹矢来に白壁に板塀の商家が連なる通りが、北から南へ続いている。先ほどの上ツ道で、奈良町の中でも沿道に大型の町屋が集まっている。二階が黒い格子窓の木奥商店から右に、うだつのある寧屋工房方面へ、店頭に段差をつけつつ互い違いに続いていくのが見える。

先へ行くのは後ほど、元興寺の史跡に寄っていきましょう。