椿井市場の先の路地を左へ、ダルマ薬局の角から下御門商店街のアーケードへ入る。出たところはならまち大通りで、観光図や石柱の道標を見ながら東へやや歩き、奈良町情報館を南に折れて奈良町へと入っていく。この通りは先ほどの「上ツ道」で、道端は細いながら黄土塀や竹矢来や千本格子や虫籠窓の町家が、沿道に集まっている。軒先で目を引くのが、庚申の使いである申のぬいぐるみ「身代わり申」の下げ物。60日に一度の庚申の日に吊るされ、魔除や災難避けになるのだという。

突き当たりの右は、無料で中が見学できる「奈良町にぎわいの家」。1917年築、築100年の町家で、玄関を入ると正面に通り庭と竈門、右手奥が坪庭に面した茶室になっており、3つの座敷を抜けたところに庭を囲む回廊が設けられている。縁台に出ると風の通りがよく、猛暑の中の街歩きに心地よい。

このあとは、界隈を占めていた大寺院に行ってみましょう。